早期未成年結婚した『僕』と『私』の愛とSEXと明るい家族計画は、いつの日かこの世界を救済する

青山 羊里

第0話 これからセックスします

 私、相庭そうば……、じゃなかった、数藤すどう 一花いちかは明日から高校生1年生。


 僕、数藤すどう 一樹かずきは明日から高校生、学校に行く。高校生になった。


 私、一花は一樹と結婚した。


 僕、一樹は一花と結婚した。


 僕と一花。


 私と一樹。


 今日、婚姻届けを出した。


 二人で提出した。


 おめでとうございます。


 受付の人にそう言われた。


 一花は僕の妻と認められた。


 一樹は私の夫と認められた。


 これは、公式に、国が認める制度。


 将来的に子供を産む、そして、育てる事を前提に私と一樹は、人類繁栄のプロジェクトに組み込まれる。


 健康面、精神面、教育、そして夫婦生活。


 ある程度は、縛りがある。


 でも、そんなもの、私と一樹にとっては全く障害になるものではない。ちょっとした検査。ちょっとした報告、ちょっとしたアンケートみたいなものだ。


 いや、ちょっとめんどくさいと僕は思うけど、一花にまかせるよ。


 うん、まったく問題ない。


 この制度を受けることで私たちは、国家政府に、地方自治体に守られることになる。


 生活を、教育を、娯楽を、そして生命を守られ、その水準は高いところで維持してくれる。


 これは国家が、早期に未成年で婚姻した夫婦を守ってくれる制度だ。


 でもさ、聞くけど本当に僕、一花と結婚してよかったの?


 今は考えられないから、そんな質問に微笑む私。


 でも、聞くけど本当に僕、一花と結婚して家族になってよかったの?


 今は考えられないから、そんな一樹の質問に微笑む私。


 でも、聞くけど本当に僕の子供を割と早い段階で産まなきゃいけないけど、一花はそれでいいの?


 今は考えられないから、そんな一樹の質問に微笑む私。


 でも、聞くけど、セックスもしないといけないんだよ? 僕でいいのかなぁ?


 そうなの、私は今、そのことで頭がいっぱいで、そんな遠い未来の事なんて眼中にない。


 今から、一樹を好きにできるんだって、思うと、自分の吐く息が熱い。


 また何かを聞こうとする一樹の言葉を私は切って、私の意思を伝える。


 「嫌なの?」


 「嫌じゃないけど?」


 「嫌じゃないって事は良いってこと?」


 「いや、だから僕でいいのかな?」


 私たちはもう、お互いに並べた布団の上に座ってる。


 おかしいよね……、二人して、向かい合って正座してるの。


 一樹の疑問に私は微笑んで、服を、パジャマを脱ぎ始める。もう、本当に説明とか、言葉とかいいじゃん。ってなる。


 「え? なに? ちょっと? 僕、やり方わからないよ?」


 だいじょうぶ、役所と政府にもらった『教本』があるから、覚える事も少ないよ。


 それにお互い初めてだから、遠慮もいらないでしょ?


 大丈夫、決して私利私欲ってわけでもないから。


 えーっと、キスはまず、唇からだね、回数を重ねて、深くもってゆくのね。


 私、教本の暗記は完了してるの。


 ほんとうに楽しみにしていたんだから。


 あ、4回目のキスはよけられて、一樹、私の裸の胸に来た。


 うわ、気持ちいいとかじゃなくて、いや気持ちいいもあるけど、くすぐったい、で、なんだろう、この謎の達成感。満足感。で、これって支配感かなあ? 一樹は私のだって、この時この瞬間は思える。本当に一樹を独り占めしてるみたいな不思議な優位感。


 本能がバラけて、大変なことになってる私、その私の好きな男の子、大好きな一樹が、一生懸命に私の乳首を吸ってる。


 もう赤ちゃんみたい。


 うわああ、なに?、可愛いんですけど。


 僕は知る、信じられないほど柔らかい一花の肢体。


 私はようやく知る、一樹の以外に逞しい身体。

 

 どこもかしこも美味しそう。


 どこまでも絡み、組み敷き、求めあう私と僕。


 これが、世界を救うという行為。


 絶え間なく続けてこられた生命の営み。


 この人口激減の、滅びゆく世界に立ち向かうべく、僕と私はSEXを開始する。


 心も身体も、全容、全景、二人だけの完全な世界。


 愛ってこんな形をしてたんだね。 


 ああ、そうか、だから世界を救うのは愛なんだね。


 


 


 

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