第17話 『プロポーズされてません♡』

17.


坂口 side:


 休日出勤の帰りに、見てはいけない?

 見たくなかった光景に遭遇してしまった。


 昨日会った高橋さんがスラっと外国人ばりに背の高い男と

立ち話しているところに。


 ニコニコと素敵な笑顔を零し、楽し気な彼女。


 相手の男は誰だ!


 しばらくすると、ふたりは名残惜しそうに別れた。

 これって、これって・・。


 俺の他にも付き合ってるヤツがいたってこと?

 頭がパニくってくる。


 脱力感が半端ない。終わった?


 自分でも体中の力が抜けて無気力になっていくのが分かる。


 仕事疲れもあり、何も考えられなくなった俺は

ただいつものように電車に揺られ、電車特有の振動を感じながら

目を閉じた。


 失恋したかもしれない。

 失恋したンだ。


 失恋だぁ~、うぁ~。

 その夜布団の中でもがき苦しんだ。


 彼女とは毎日のようにメールで他愛のない話をしたり

休日に会ったりと、楽しい時間を育んできていたのに

自分に自信がなくて、断られて彼女との楽しい時間が突然

なくなってしまうことを考えるとなかなか1歩前に進めずに

いた。


 よもやの、恋敵の出現にほんと、凹む。

 もっと早くに告白しとけばよかった、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る