第13話 『プロポーズされてません♡』

13.


杏 side:


 話してて分かったふたりの現況。

 

 藤本くんは大学卒業後すぐに音楽の仕事を目指して渡米、そして

あちらで就職、半年前に帰国。

 今後は日本で腰を落ち着けることにしたという。


 興真理ちゃんは結婚していて既婚者。

 旦那さんが出張で一緒に店に行ける者が身近におらず、Twitterで

同志を求めたとのこと。


 これまでお互い親しい付き合いはなかったものの

中学生の時から大学まで同じ学校に通っていて、3人とも一度は

同じクラスになったことがあり、存在は認識できている間柄。


 なので気負うこともなく、食べるだけ食べて、30分程お互いの近況

などで盛り上がった。


 盛り上がったところで突然、興真理は、美容室の予約をしている

と言って自分の支払い分を置いて、『楽しかったわぁ~また会いたいね』の言葉を残して店を足早に出で行った。


 そんな彼女を見ていて、マイペースですごいなぁ~、きっと人生

生きやすいのだろうなぁと思った。


   

 「あいつ、すげぇ、マイペースなヤツだなっ」


 「・・だよねぇ~」


 「ところで藤本くん、海外での暮らしはどうだった?

 音楽の仕事って、芸能人なんかとの付き合いっていうか、やっぱり

華やかだった? 」


 「ンや、俺自身が歌い手ってわけじゃないし、それほどでも・・

といっても、日本でサラリーマンしてたんじゃ、出会わない人間も

大勢いたから。・・ってどのこと? 

もしかしてそれって女性関係のこと? 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る