Round 11 台を当ててあげるのです
「さて、彼らの後を行きましょう。ちなみに彼らが通過した台は激寒です。触るのはおすすめしませんよ」
……今まさにバアさんが万券突っ込んだんだが。
他の人間には見えないのか、魚たちは島の奥へ進んでいく。一台にイワシのトルネードよろしくまとわりつき、激寒だとスッと離れていく。どれもこれも遊戯中なんだけどな。
「どうやらここの2台のようですね」
島中心の並び2台で魚群は渦を巻いている。
「お好きな方をどうぞ」
「……じゃあ、端で」
台の並びが一旦切れる端に着席。誰も触っていない0回転台であり、前日、前々日と悲惨なスランプグラフが映っている。見事な右肩下がり。右隣りの魔女の台はジグザグのそれだった。
こんな台がホントに当たるのかねぇ……
「座った時点で信じているところがあるのでしょう?」
図星である。
不敵に笑う魔女と一緒に1万円を投入。打ち出し始めから球はキレイにチェッカーに吸い込まれ、渦を巻いていた魚群達が同じく台に消えていき、そして三度目の球貸し後――
リーチ!
ダブルリーチ。
「いやいやいや……そんな」
ダブルリーチだけなら別に……
と思えば背景にはマ〇ンちゃんも登場し、さらにはお魚さん達が台いっぱいに右から左へ流れていく。
「いやいやいやいやいやいや」
図柄の魚介類の目にも火が灯っているではないか。
ゆっくり、ゆっくりと緩慢に図柄が滑っていき……
2 ・ 3
・ 3 ・
3 ・ 2
3番のカメさんが止まったァッ!!
スーパーラッキー!
「えぇ…………」
隙の無い確変が決まる。
隣の魔女は5番のエビさんで揃っていた。お前も確変かよ。思わず目が合ってしまい、微笑みが返って来る。
「だから言ったでしょう? 当たりたがりの台だと……ふふふ」
「お、おぉ……」
まるで魚群探知機……さすが魔女である。
当たったのは俺の実力だけどな!
海台の確変に関しては特にコメントはない。
さすが海と言った所か……通常当たりも含め、安定した出玉力で9000発ほどを獲得してその台を終えようとしていた。
「お詫びといってもヒキは貴方自身によりますからね、そんなものでしょう」
「まぁな~、でもまだ午前中だからな。こっから攻めるさ」
「退くことも大事かと。魔法も当たりたがりの台はないと教えてくれていますよ」
魔法の残滓たる魚達は空き台には目もくれず他の島にも行ったようだが泡のように消え去った。
要するに、すぐに当たる台はない。
それでもっ!
「ばっきゃろう! こんだけ余裕ができたからこそ増やすんだろうがッ!」
目指せ2万発! 戦いはまだ始まったばかりだ!!
◇ ◇ ◇
……
「ぁ……あぁ……ぁ……」
「まったく……だから言ったでしょう?」
出玉は見事に消滅し、財布の中はスッカラカン。
店内のソファで天井を仰いでいる姿を、銀髪の魔女に呆れられていた。
「運の操作もできない人間が必要以上に攻めても……」
「じゃぁかしい! あの台で確変さえ取れていれば勝ってたんだよ!」
「これがうわさに聞くたられば理論……」
パチンコは、適度に楽しむ遊びです。
のめり込みには注意しましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます