学校では陰キャでオタクな俺ですが、家に帰ると義姉達が甘やかしてきます
皐月陽龍 「他校の氷姫」2巻電撃文庫 1
なぜ俺は義姉達に甘やかされているんだ?
第1話 家に帰ると巨乳の姉達に甘やかされています。
俺の名前は
別に友達が居ない訳では無い。学校ではアニメやラノベの話が出来る友達が二、三人居る。しかし、コミュ障ではないと言い切れない。二人組を作ってなど先生が言い出せば心臓が嫌な音を出すし、それで女子と組めとなれば冷や汗が止まらなくなる。
まあ、それは良いとして。そんな俺の日常などつらつら書き述べたところで見る人など居ないだろう。誰が陰キャオタクの日常を見たいんだ。拗らせすぎだろ。
だが、そんな俺にも『非日常』がある。それは――
「佳音くん、甘やかさせて!」
明るい茶色の髪を背中まで伸ばした、背の高い女子高生。その顔は十人が十人振り返る程の美少女であり……何より、でかい。背がではない。胸が、だ。
俺の顔ほどもありそうなほど大きいものが二つも付いている。彼女の名前は――
陽葵姉はその両腕を前に出し、飛び込んできてと言わんばかりにそわそわしている。
「……
俺の言葉が終わるより早く陽葵姉に抱きしめられる。母性の固まりとも呼べるそれが顔面に押し当てられ、頭の中まで甘い匂いで満たされた。
「もう、佳音くんは反抗期なんだから。お姉ちゃんが甘やかしたいって言う時はちゃんと甘えるんだぞっ!」
おっぱいがいっぱいである。男子高校生はおっぱいに無力なのだ。押し返す事など不可能。というか押し返そうとした時点でおっぱいに触れて負け確が決まってしまうのでおっぱいは最強である。
……陽葵姉は俺より二つ上の義理の姉だ。父さんが二年前に再婚した相手の娘であり、同じ高校に通っていたりする。しかし、学校ではお互い不干渉としている。理由は簡単だ。単純に俺が他の生徒に嫉妬で殺されかねないから。ちなみに、俺に以前の母さんの記憶は無い。俺が七歳の頃に離婚したらしいが……。
そして。家に帰るとすっごい甘やかしてくる。こうして家に帰ってきたら真っ先に抱きついてくるのはもちろん。耳掃除をやってくれたり、昼寝をしていたらいつの間にか膝枕になっていたりなど。起きた瞬間目の前に大きな胸があった時の俺の気持ちを考えて欲しい。男子高校生には刺激が強すぎる。
どうして甘やかしてくるのか、と聞いても「佳音くんだからだよっ!」としか答えてくれない。
「佳音くんも一日お疲れ様っ! お姉ちゃんのおっぱいでいっぱい休んでいいからねっ!」
「ひ、陽葵姉。あんまり押し付けられると……」
当然、俺も男だ。反応しない訳が無い。俺が言うと……陽葵姉はニコリと微笑んだ。
「ふふ。佳音くんも男の子だもんね。我慢出来なくなったらいつでもお姉ちゃんに言うんだぞっ」
……と言って、離れてくれた。正直、なんだこのエロ漫画みたいな展開はとか思わない訳では無い。
危ない場面は何度もあった。しかし、俺は何度も我慢をしてきた。理由は簡単だ。
「……佳音、もう帰ってたんだ。べ、別に? 佳音がハグしたいんだったらしてあげない事もないけど?」
続いて扉を開けて入ってきたのは、黒髪をツインテールにした。少し童顔でありながらも目はつり上がっていて、背の低い女子高生。……しかし、その胸は陽葵姉に負けないほど大きい。
ここでハグをしない選択肢ももちろんある。……だが、それを選ぶと月雫姉は拗ねる。それはもう、盛大に。
「……ああ、したいな。月雫姉と」
「! し、しょうがないわね。えい!」
月雫姉が俺の胸に飛び込んでくる。その豊満な胸が俺の鳩尾あたりで押しつぶされ。月雫姉は俺の胸へすりすりと顔を寄せた。何この可愛い生物。歳上なのに歳下に見える。
月雫姉はツンデレだ。素直じゃないと言っても良い。最初の頃は大変だった。
ツンデレだと陽葵姉が教えてくれなかったら嫌われていたかもしれない。
しかし、やはりやばい。なんで女の子ってこんなに柔らかいんだ。
「……ど、どうしてもって言うなら手伝ってあげてもいいんだからね。お、お姉ちゃんなんだし」
「い、いや。大丈夫。大丈夫だからそろそろ……」
「わ、分かったわよ!」
月雫姉はバッと離れて自分の部屋へと向かった。
もし……もし、陽葵姉と関係を持ってしまったら。月雫姉との関係も悪くなるだろう。逆も然りだ。
そして。理由はあと一つある。
「……ただいま」
そう言って玄関から帰ってきたのは、真っ白な髪をした。陽葵姉と月雫姉の中間くらいの背をした。無表情で……しかし、綺麗な女子高生。
それと、姉二人に負けず劣らずの巨乳の持ち主でもある。
「ああ、おかえり。空姉」
「ん」
空姉は言葉少なく両手を伸ばしてきた。……ハグの催促だ。
こちらもやらなければ機嫌が悪くなるので……ハグをする。
すると、ぎゅっと力強く抱きしめてきた。……だけでなく。
「……空姉?」
「ん?」
「そこ触らないで欲しいんだけど」
空姉の手がとある部分を摩っていた。それは俺の男を象徴する部分だ。
「……でも嬉しそうにしてるよ」
「そういう問題じゃないから」
「じゃあ私のも触る?」
「触らない。だから離れてくれ」
「むぅ……けち」
空姉は頬を膨らませたまま。自分の部屋へと向かっていった。
空姉は凄く……男の子に興味があるらしい。今のように、よくセクハラをしてくる。
それなら彼氏を作ったらどうかと何度も聞いた。
『嫌だ』
と一蹴されるのみだった。
家に帰ると三人の義姉に甘やかされる。そんな非日常が続いていた。俺はまあ、高校生なりに欲もあるし。そのうちどうにかしなければと思いながらも、楽しんでしまっていた。
――あの日までは。
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