第21話 中毒。

 単純で可愛い私の彼氏…、とても好き…。

 私が言うことなら全部聞いてくれる人。ちょっとでも怒ると、すぐびびってしまうその姿が好きだよ…。可愛い尚くんは永遠に私から離れない…、ずっと私の彼氏でいるのよ…。ずっとずっとずっと…、何があっても尚くんを手放さないからね…。


 あっ、尚くんのことを思い出すとアソコが反応しちゃう…。


「ここだったかな…?」


 引き出しの中に入れておいた尚くんのパンツ…。


「……っ」


 尚くんがバイトに行った後はすごく寂しい…。

 だから、こっそり持ち出した尚くんのパンツで自分を慰めた。ここについてる匂いが好きで、目を閉じると…尚くんがすぐそばにいるような気がする。ところで、私可愛い笑顔を作ることに素質あったのかな…? 尚くんの前で笑うと、すぐ顔を赤めてしまうから…、予定より早く告白した感じだった…。


 しかも、可愛い腕輪までプレゼントするとはね…。

 お金もない高校生があんな高い腕輪を…、私のために買うなんて…。すっごく嬉しかった。


「……っ…好きぃ…」


 それより、尚くんも私のことが好きだったんだ…。その事実がとても嬉しくて、自分を慰める時間や回数がどんどん増えてしまう…。もう頭の中には尚くんしか入っていないよ。私どうすればいいの…? 鍵をもらったあの日から、毎日行かないと…そのそばで寝ないと…不安になってしまうのよ…。尚くんが悪い…、これは全部尚くんが悪いんだからね…?


「……」


 そして…、毎回私の前で怒ってるし…。尚くんのソコが…。

 変態…。


「はあ…はあ…。またやっちゃった…」


 でも、やっぱり私の指よりは尚くんのアレが好き…。

 気持ち良くなりたいのに…、尚くんはいつ帰ってくるのかな…。今日もお茶を飲ませてやりたい! でも、そうすると照れる顔が見られないから…難しいね。


「時間も遅いのに…。まだバイトやってるのかな…?」


 付き合ってから、尚くんは自分の日常を報告するように私と約束した。

 学校が終わった後、私に「バイト行ってきます」ってL○NEを送ったけどね…。私は今のバイトをやめて欲しかった。お金は私が出してもいいから…、尚くんがそばにいてほしい…。一人にいる時間が長くなるのが嫌だ…。


「ううう…! つまんな〜い」


 菜月「会いたい。尚くん」

 菜月「バイトいつ終わるの?」

 菜月「ねえねえ〜。尚くん〜」

 菜月「今日の夕飯何食べたい?」

 菜月「ねえ〜。返事!」

 菜月「返事! 返事! 返事! 返事! 返事! 返事! 返事! 返事!」


 なんで返事しないの…?

 尚くんが私に告白したから、すぐ返事するのは当然だよね?


「……尚くん」


 また…、他の女と話したりしてないよね…? 尚くんは優しいから…。

 この前、尚くんがあの女の子にやられる時もそうだった。警戒心がないから…尚くんはやられるのよ。尚くんのそばにいる女は私以外に全部信じちゃダメ…。私が一つ一つ…、尚くんのそばから切り離すから…心配しなくてもいいよ…。


「はあ…、尚くんを噛みたい…」


 しかし、あの子…。

 ちょっと笑顔で挑発しただけなのに、すぐやってくるなんて…ちょろいね…。


「アハハハハハハハハッ」


 カッターナイフを唇に当てた時の感触、とても気持ちよかった…。

 ブスが私の尚くんに手を出すからそうなるのよ…。尚くんに集る人は私が全部排除するから、尚くんは私だけを見て…。そして尚くんが大人になったら、私と赤ちゃんを作るのよ…。二人っきりの世界で…幸せな人生を送りたいから…。

 

 キャー! 早く大人になって…!


「あっ、そうだ。それあるかな…!」


 菜月の大きい机には尚とやった時のゴムが数十個、そして尚が前に着ていたパジャマとシャツなどがおいていた。

 それ以外にも、尚の家から持ち出した物がいっぱいおいている。


「フンフンフン〜」


 カチカチカチ…。

 カッターナイフを取り出す菜月が微笑む。


「やっぱり、尚くん…。あの時のことを覚えてるよね? その体はちゃんと覚えていよ…?」


 私は知っている…。

 尚くんがどうして人の多い場所が苦手なのか、どうして友達をたくさん作らないのか、どうして一人で過ごす時間が多くなっちゃったのか…。

 私はそれを全部知っているよ…。


 ここに来たのは偶然じゃない…。

 尚くんに会いたいから…、私が…。


「アハハハハハハッ」


 欲しい物がここにいたからだよ…。

 私の尚くん…、その純粋な顔で私を見て…。私を見て…尚くん。


 ……


 そして菜月のスマホにメッセージが届く。


 エル「菜月菜月! 12月の最後は一緒に遊ばない? 菜月くんの家でね!」


 エル…。この前に尚くんを見ていたその目が…、すごく気になるから…。

 ずっと警戒していた。


「……」


 木下エル…、大手企業の娘さんって言ったよね…。

 入学した日からずっと私に声をかけて、友達のふりをしていたけど…。予想以外にちょろい女だったから、あんまり絡みたくなかった…。そして…レストランに連れてきた彼氏もちょっと…。あれは彼氏のふりをする人にしか見えないほど、デリカシーのない人だったから…。普通にタバコは吸わないんでしょう? そんな場所で。


 うん…。やっぱり、今のはなかったことにしよう。

 新年は尚くんと二人っきりで過ごした方がいい…! そばでたくさん甘えたい。


 ダーリン「すみません…。今日はいつもより忙しくて…。もうちょっとで終わります」


 尚くんからのL○NE!


 菜月「私! 今そっち行くから! 待ってて!」

 ダーリン「えっ? いいですよ。寒いし」

 菜月「やーだ」


 尚くんは私に生きる理由を教えてくれたから…、責任を取らないといけない。ずっと、ずっと…私はね…? 一人しか見ない女なの…。尚くんのことがとても好きで…好きすぎて、変なことをするかもしれないから…。私の話には逆らわないで…、尚くん…。


 私は独占欲がすごくて、嫉妬もする…。

 尚くんは「付き合ってください」って言ったから、その責任を取るのよ…。


「あっ、そうだ!」


 家を出る前に、尚からもらった腕輪をつける菜月。


「早く行かないと…、尚くんが待ってるから!」

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