二九三九五二日目

 目が覚める。鏡を探す前に気付いた。お腹が異様に膨らんでいる。動こうとすると気分が悪い。傍に置いてあるメモを読んだ。

 どうやら僕は妊婦らしい。メモによると出産までにはまだもう少し日がある。安心した。一日安静に過ごした。

 夜は窓の外に三日月が見えた。

 寝る前にペンを執る。メモに記されていた妊娠後の日数を更新した。

 出産の日にこの器で過ごす魂は気の毒だと思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る