4 お茶


 しばらく歩いたところで「ちょっと座りたい」と菜々が言い出した。

少し体調が悪そうに見えたのでヒヤヒヤしたが、すぐそこはもう公園だった。


ちょうど草を刈ったところなのか、雑草の背が小さく歩きやすい。梅雨になる前に、草刈りをしたかったのかもしれない。


わたしはぽつんぽつんと、等間隔に並ぶベンチの一つに菜々を座らせた。

菜々は少し辛い表情をしていた。


「ちょっと生理中で…… 薬は飲んでるんだけどなあ」


そう言って菜々は通学鞄から水筒を取り出し、蓋をコップのようにして、コポコポとお茶を注いだ。

お茶は温かそうに見えた。

それを飲み、ふう、と一息ついている菜々をぼんやりと眺める。


空気が澄んできた。もうそろそろ夕方だった。


「はる子もお茶飲む?」


自分の分をゆっくりと飲み終えてから、菜々はもう一度、水筒を傾ける。

コポコポとコップの半分にお茶が満たされた。


「喉が乾いた」とも、わたしは何も言っていなかったけれど、すでに注がれているので、わたしはお礼だけ言ってコップを受け取った。

温かい麦茶だった。  


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