死神学校④

「イチゴジュース、二つ下さい!」


「はいよ」


中庭のような空間にスタンド型のジュースを渡してくれる場所があった。


「お待たせ」


「はい、リゼ君」


「ありがとう」


僕は、初めてイチゴを食べた。


「甘酸っぱいね」


「学校を卒業したら、ミルクが入ったのを飲めるんだって!でも、これは炭酸水」


「だから、酸っぱいの?」


「イチゴは、そういうものよ」


ローズは、笑っていた。


僕は、ローズといると楽しくて笑顔になってしまう。


「リゼ君の髪の色みたいね」


ローズは、僕の前髪を指差して笑った。


「確かに、そうだね」


「赤いものを死神は、摂取しなければ死ぬんだって」


「そうなの?」


「うん!人間でいた名残りらしいよ!血って赤かったでしょ?」


「確かに、赤かった」


ローズは、イチゴジュースを飲んだ。


「トマトやイチゴや赤ピーマン。学校を卒業したら、マグロが食べれるの!後、お祝いの日には赤ワインが飲めるのよ」


「へー。凄いね」


何でも知っているローズの話しは、楽しかった。


「卒業したら、リゼ君!」


「何?」


「お肉を食べない?一緒に…」


「勿論だよ!」


「よかったー、嬉しい」


このお・・って言うのが、実は付き合うって事だと僕は550年後に知るんだ!


お肉を女性が食べる行為を見せるのは、死神界では恋人か婚約者か夫と決められていた。それを、僕は全く知らなかったのだ。


そして、僕のペアであるルカも知らなかったのだ。


ローズは、ニコニコ笑いながらジュースを飲んでいた。


当たり前だ!


ローズは、頑張って告白をしたのだ。


僕は、肉を食べるだけだと思っていたけれど…。


「どうして、死神学校は菜食なの?」


疑問に思っていた事を、ローズに尋ねる。


「怒りをコントロール出来ないからよ!肉や魚を食べると、怒りやすくなるらしいの!だから、菜食なんだって」


「そうなんだ!知らなかった」


「死神図書館の本に、書いてあった」


「へー!ローズちゃんは、勉強熱心だね」


「ローズでいいよ」


頬が赤く染まった。


「わかった!ローズ。僕もリゼでいいよ」


「うん」


「あっ!もう、晩御飯だね!行こうか」


「うん」


僕とローズは、食堂に向かった。


食堂の席では、カレーうどんをルカが食べていた。


「ズルル、ズルズル」


「麺好きだね」


僕は、野菜カレーを食べる。


「悪い?」


「別に!」


「なあー、イチゴうまかった?」


「何?それ」


「ローズと飲んでたろ?スタンドでもらって」


「み、見てたの」


「うん、イチゴ美味しいのかなって」


「明日、一緒に飲む?」


「いいのかー?」


「うん、いいよ」


ルカは、この日初めての笑顔を僕に見せてくれた。


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