結婚

「お帰りなさいませ」


「ただいま」


みんなが、頭を下げてきた。


死神界に戻ってきた。


俺は、後、二週間でローズと結婚する。


死神にとっての結婚は、上層部に行くチャンスなのだ!上層部にいる死神は、10人。そのうち、ルシア様のように、神から指示を直接、受けとれる死神は、僅か五人だ!


みんな、そこに行きたがる!何故なら、その場所にいける死神は命を3つ貰えるからだ…。


3つの命とは、死神として罪を犯した場合、今の俺の立場なら死ぬしかない。


しかし、上層部の死神は一度、懺悔の泉に送られて人間かペットとして生まれ変わるのだ。


そこから、もう一度死ぬ。


そして、死神に戻されるのだ。


そのチャンスを三回手に入れる事が、出来る!


だから、皆。その10人に入りたがるのだ。


そして、神から指示を受けれる5人になるとなりたいものを選べるのだ!


罪を犯すのは、人間も死神も同じだ。


ルカだって、レイプ犯を殺したのだ。


そして、そこに座ってるミネもだ。


「お帰り、リゼ」


ミネは、黄色の頭をしている日本人形のような顔立ちだ!


「もう、大丈夫なのか?」


「大丈夫だ」


一ヶ月前、子供を殺害する予定だった犯人を殺した。


「知ってるか?」


「何だ?」


「これ、脳ミソみたいな感触なんだぞ」


「気持ち悪い事言うなよ」


「フッ」


そう言いながら、スライムを練り練りとしながら楽しんでいる。


「何故、犯人を殺した?」


「さあな?勝手に体が動いていた」


ミネは、ガムを口に放り込んだ。クチャクチャと音を立てて噛む。


「次は、死ぬんだぞ!怖くないのか?」


ミネは、俺をジッーと見つめる。


「怖くない!もう、558年も生きてる」


そう言って、笑った。


「そうか…」


人間により近い感情を抱いている600年以下の死神は…。


怒りをコントロールする能力が、低いと言われている。


その為に、結婚をするのだ。


結婚をすれば、怒りをコントロール出来る力が上がる。そして、何より太陽の結婚指輪をはめる事によってより死神に近づくのだ。


太陽の指輪は、結婚したものしかつける事が出来ない。


神のしもべの指輪職人が作ってくれるのだ。


一年に一度、数名だけが結婚出来る。


その為に、俺は魂の取りこぼしをしてこなかった。


やっと、結婚に選ばれた。


「お帰り、リゼ」


「ローズ、ただいま」


ローズを愛している。


「どうしたの?浮かない顔して」


「いや、何でもないんだ」


愛してる筈なんだ。


なのに、何故、桜木杏奈がちらつくのだろうか?


「リゼ、今日は食堂で食べる?それとも、家で食べる?」


「えっ、あっ!食堂に行こう」


「そうね」


「食べさせるよ」


ローズの右手をへし折った責任が俺にはある。

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