魂の数
俺は、杏奈の隣に座りながら煙草に火をつけた。
「魂の秩序ってのが、あるらしいんだ。俺は、トップじゃないからよくわかんないんだけどさ!子供の数とか決められているらしいんだよ!初めから…」
杏奈は、俺を見つめるみたいに座ってる。
「だから、杏奈は青井との子供は産めない運命だったんだ。ほら…」
俺は、また杏奈にCフォンを見せる。
「青井俊樹、子供一人、男の子って書いてる。嘘だと思うなら、唐津智子を見てみようか?唐津智子、子供0!!えっ?!おかしいなー。壊れてるのかな?」
「壊れていない」
俺は、煙草の火を消して立ち上がった。
「ルシア様、こんにちは」
「堅苦しくなくていい」
「はい」
ルシア様は、死神の幹部だ!上から、三番目だ!
「間違っていないとは?」
「元々、唐津文夫は前妻との間に二人子供がいる」
「はい」
「魂の秩序を崩された」
「再婚したからですか?それとも、不妊治療がですか?」
「不妊治療の末、授かる予定の魂もいる。しかし、唐津智子の場合は違う!なのに、神様と呼ばれる医者が産ませた」
「それは、駄目なのですか?」
「駄目に決まっている!魂には、決められた人数しか駄目なのだ。この家には、何人と決まっているのだ!それを、あの医者は神になったのだ」
「それで、自殺させたと」
「元に戻せと、神からの要望がきたのだよ」
ルシア様は、泣いていた。
「皆は、神を素敵な人物と崇めているけれど…。神は、残酷でもあるのだ!嫌、絶対に秩序を乱させないと言えばいいだろうか?だから、桜木杏奈が青井俊樹と別れた事は正解だったんだ」
「神が決める事だと?」
「産まれ落ちたものは、皆、神の子であるのだ!だから、神が書いた運命通りに生きるのだ!」
「桜木杏奈が、度重なる流産や中絶をしたのは?」
「決められていた事だ!ただ、一つ違うのは!青山俊樹が、今の妻を選ばなければ今回は産まれていた」
ルシア様は、泣いていた。
「今日は、何故下界へ」
「神様が、女の子を産ませた。だから、この子を殺した」
ポケットから取り出した小瓶には、4歳の男の子の魂が入っていた。
「待ってください。どうして?」
「お母さんと妹が、危ないと聞かされて、この子が助けてくれって言ったんだ。僕の命をあげるから、助けてくれって言ったんだ」
ルシア様の目から涙が重なり合いながら落ちていく。
「それで、連れてきたのですか?」
「あの家には、祖父母合わせて五人までと決められていたから、仕方がなかった」
「そんな…酷いですよ」
泣いている俺の肩をルシア様が叩いた。
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