死を望む君に捧げるI LOVE YOUー死神の恋ー【仮】

三愛紫月

プロローグ

死んだ理由

「決定を受け入れましたか?」


「はい」


「本当に、残念で仕方ありません。貴方のような優秀な方が…」


「ありがとうございます」


「何か、言い残す事はありますか?」


「いえ、ありません」


「それでは、お疲れさまでした」


「はい」


「さようなら」


ダンッ………


「痛みがあるとは、聞いてませんでした」


「苦しいでしょ?これが、死ですよ」


今日、俺は死にました。


何故、死んだのかって?


時間を巻き戻すべきかな…


ああ、そうだ!


死ぬのが、決まった出来事からまず話す方がいいかな?


.

.

.

.

.


俺がいる世界には、一つのルールがある。


その一つだけは、けして破ってはならない。


それを、破ったものには永遠の死があるのみだ。


わかっていた。


なのに、あの日、俺は…。


「待てーー」


「えっ?」

  

高層ビルの屋上から、彼女は躊躇いもなく飛び降りた。


俺は、フワリと空中で彼女の体を抱き寄せる。


「愛してるよ!杏奈」


「誰なの?凄く綺麗な人ね」


スローモーションのようにゆっくりと落ちていく。


俺は、杏奈を見つめる。


「彼だけが全てじゃない。この先の人生は幸せだよ」


「死ぬのよ!あんな高さから飛び降りて生きれない」


「大丈夫!俺を信じて」


「何言ってるの?」


「俺は、杏奈を愛してる!だから、信じて!杏奈を愛してくれる人が、この先もいるから…。必ずいるから!杏奈とあの子と、また出会えるから…」


「どうして、わかるの?」


杏奈の目から、涙が、ボロボロ流れてくる。


「俺には、全部見えてるよ」


「貴方の名前は?」


「………。愛してる」


俺は、杏奈にキスをする。


そしてさらに、強く抱き締める。


大丈夫!


君は、大丈夫だから…。


ブワッーって、真っ白な光と突風が包み込んだ。


俺は、杏奈を地面に寝かせる。


ポンッ……男の肩を叩いた。


「大丈夫ですか?救急車」


これで、大丈夫だな!


【ルール違反だ!】


【早いね!ルカは…】


【何故だ?何故、あんな小娘を助ける】


【離せよ!】


【お前は、自分の命をあんな人間ごときに捧げてどうするのだ?】


【罰則を執行、罰則を執行】


俺は、フッと笑って煙草に火をつけた。


【使いのブタは、相変わらずだな!】


【ブタじゃない!】


【行くぞ!】


【逃げないよ】


俺は、ルカに腕を引っ張られる。


「裁きの庭に、呼ばれてるって何故なの?」


「離せ」


「私と結婚するのよ!どうして?どうして?」


泣き崩れる婚約者を見つめていた。


【金の輪っかをかけなさい】


「はい!」


両手首に、金の輪っかがガチャリとはまった。


罪人の証だ!


「決定が下るまでは、あの場所で待ちなさい」


「はい」


俺は、牢獄にいれられた。


繋がられながら、手を胸に持っていき三回タップした。


俺は、後悔なんかしていない。


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