歌と鳥
夏来ちなこ
1 昼休み
昼休み。おれの教室に来てもらって、
浩平は、箸で卵焼きを半分に切っていた。それからその一つをとって、そっと口に運ぶ。おれはそんな浩平の様子を盗み見ていた。浩平は一口一口、丁寧に食べるので、どことなく上品に見える。
こいつの所作は、自然と育ちの良さがにじみ出ていて、おれはそれを見ているのが好きだったりする。でも、あまりにも見過ぎてしまっていたのか、浩平がおれの方をちらりと見た。
「
二年ほどの友達付き合いだと言うのに、こいつは未だにおれのことを牧村、と名字で呼んでくる。
でも、おれはそのもやもやを腹に納めた。
機嫌よく「今日も桔平先輩の弁当か?」と問いかけた。すると瞬間、浩平は熱が上がったように頬を真っ赤にして「う、うん」と答えた。ん? なんで?
浩平には、料理上手な兄がいる。
同じ高校に通う一学年年上の
いつものノリで聞いたのに、なんで今日はこんなに慌てたような反応なんだろう。
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