〈脳の杖〉

 認知症予防に私がお勧めするのは「読み書き算盤」ならぬ「読み書き読み」という、新聞の三段活用法である。


 一段目の「読み」は、紙面をペラペラめくりながら興味のある記事だけにする。

 改めて新鮮な気持ちで繰り返すと、読み残しがなく新しい発見もある。

 そして忘れないうち、パソコンにメモしておく。


 二段目の「書き」は、時事ネタのメモを頼りに下書きをすることだ。

 気の向いたときにパソコンで推敲を繰り返し、出来上がった原稿は必ず投稿する。

 参加することに意義があるのは、オリンピックに限らない。


 ……とは言っても楽しみなのは「ひょっとして」とつぶやきながら自分の名前を探す三段目の「読み」だろう。

 パソコンは私にとって〈脳の杖〉だから、もはや手放すことはできない。

 モニターを見ながら両手の指を動かす作文は、爺医の脳にとってきっと良い刺激になっているはずだ。

 これからも、認知症予防の効果を期待し、生存証明をかねて投稿を続けたいものである。

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