第272話 寝具

【お知らせ】

いつも拙作をお読みいただき誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


本日よりこちらの作品の第2巻が発売されました!


下記ページの「立ち読み」より、キャラクター紹介イラストとソニアのメイド服姿の素晴らしいイラストが見られますので、ぜひご覧になってくださいo(^▽^)o


https://www.alphapolis.co.jp/book/detail/1047218/10842

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「このあとはどうします? このキャンプ場には2人で遊ぶ遊具もありますし、ご自由に読める本もあったり、近くの川で釣りをしたりもできますよ」


 温泉を十分に堪能してくれたサンドラとアンネルさん。時間はまだ早いから夜にご飯を食べるにしても、少し時間がある。


「ここにある漫画という本はとても面白いのじゃぞ! それにバドミントンやフライングディスクみたいな遊具で遊ぶのも面白いのじゃ」


 普段サンドラが来た時はランドさんやバーナルさんと遊具で遊んだり、オブリさんとリバーシで遊んでいた。今日はランドさんとバーナルさんたちは来ていない。


 アンネルさんは吸血鬼らしいが、外で身体を動かすアウトドア派か、アウトドアチェアに座って本を読んだりテーブルゲームをするインドア派のどちらなのだろう?


「……さっきの温泉がとても気持ち良かったから、少し昼寝をしたい」


 ……どうやらアンネルさんは超インドア派みたいだ。


「う~む、他にもここには面白いものが山ほどあるのじゃがな……」


「まあ、それぞれがしたいように過ごしてくれればいいさ。……でもひとつ聞きたいんですけれど、まさか一度寝たら一月起きないとかはないですよね?」


 温泉があまりにも気持ち良かったらしく、まぶたが重そうでトロンとした顔をしているアンネルさん。確かに見るからにウトウトしていてすごく眠そうだ。


 しかし、サンドラが前に言っていたように、アンネルさんはものすごい長時間寝るらしい。さすがにこのキャンプ場で一月も寝られてしまうのはちょっと困る。


「昨日までずっと寝ていたから大丈夫……多分」


「………………」


 最後にものすごく不安な一言が入ったな。


「最悪起きなかったら、妾がこやつの家まで連れて行くのじゃ」


「まあそれならいいか」


 本当に起きなかったら友達であるサンドラに任せるとしよう。




「サンドラはいつもハンモックというもので寝ているんですけれど、アンネルさんは普通のマットのどちらで寝ます?」


「ハンモック?」


「うむ、これもとても寝心地が良いのじゃぞ!」


 普通のお客さんがこのキャンプ場に泊まる時にはテントの中にマットを敷いて寝袋で寝てもらっている。


 しかしサンドラの本当の姿は巨大な竜なので、もしもテントの中で寝ている最中に巨大な竜の姿に戻ってしまったら、結界の効果によって破壊できないテントの中で圧死してしまう可能性もゼロではないので、屋外にハンモックを設置して寝てもらっている。


 幸いサンドラは寒くても暑くても大丈夫らしいからな。


「これがハンモック……悪くない」


「宙に浮いてる独特の感じがしますよね」


 とりあえず両方試してみると言うことなので、まずはハンモックを試してもらった。ハンモックは地面で寝るのとは異なり、揺れている宙で横になっている感覚なので、最初は寝づらいかもしれないが慣れるとなかなか心地良いんだよね。


 そして次に普通のお客さんに寝てもらっているマットと寝袋(シュラフ)で寝てもらう。


 キャンプギアの中にはコットという簡易ベッドなんかもあるけれど、うちのキャンプ場では使用していない。凸凹の地面の上でも寝られたり、地面の上で寝られて冷気や熱気の影響を受けないというメリットもあるのだが、そこまで急激に寒かったり暑かったりすることはないからな。


 それにうちのキャンプ場が使用しているマットは立派で大きなやつなので、コットの上に敷くとはみ出てしまうのである。


「とても柔らかくて気持ちいい……」


「ええ。当キャンプ場で使用しているのはかなり良い品質のマットと寝袋なので、柔らかくてとても寝心地が良いんですよ。他のマットに比べて厚さも10センチと分厚いので、身体全体を優しく包み込んでくれます。寝袋も上質なダウンが使用されているので、肌触りも良くてフワフワで寝心地も抜群。それに保温性にもとても優れていて――」


「……ユウスケ、もう寝ておるのじゃ」


「………………」


 俺がマットと寝袋の説明をしている最中にもうアンネルさんは落ちていた。いくら温泉に入ってとても気持ち良かったとはいえ、寝るのが早すぎるだろ……


 まだまだ、インフレーターマットの素晴らしさとか、マミー型と封筒型の寝袋の違いなんかを詳しく説明しようと思っていたんだけれどな。まあ、これだけ気持ちよさそうに寝られたのならなによりだ。


 そのままサンドラと一緒にテントから出て、テントの入り口を閉じてあげた。


「それでは妾はのんびりと漫画でも読んでいるかのう」


「ああ、了解だ。とりあえずいろいろと満足してくれそうで何よりだよ。サンドラの言う通り、他人を害する気はなさそうだし、キャンプ場に来てくれても大丈夫そうだな」


「うむ、良かったのじゃ!また晩飯の時間になったら、アンネルのやつを起こして料理を注文させてもらうのじゃ」


「おう」




「すまん、アンネルのやつはとても気持ちよさそうに寝ているから、このまま明日の朝まで寝かせておくのじゃ」


 日も暮れて他のお客さんが晩ご飯を食べている時間帯になってもアンネルさんはまだ寝ているらしい。


「……それは別に構わないんだが、本当に明日の朝に起きるのか?」


「ふ~む、昨日まで一月以上寝ていたから、おそらく起きるとは思うのじゃが……あやつは無理やり起こそうとするとちょっと怖いのじゃ。最悪寝たままあやつの家まで持っていくから安心せい」


「まあ、その場合はよろしく頼むよ」


 今日は週末で明日のチェックアウト後はキャンプ場が休みだからな。起きなかった場合はサンドラに連れて帰ってもらうしかない。

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