第268話 サンドラの友人

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 ピンポーン


「おっ、新しいお客さんか。それじゃあ俺が行ってくるよ」


 今週は少しずつお客さんが戻ってきたが、従業員のみんなもいるし、仕事が慣れてきたということもあって、そこまでは忙しくはない。


 そしてみんなとのんびりと雑談をしていたら、新しいお客さんが来たようだ。今回は俺がお客さんを出迎えに行く順番なので、キャンプ場の入口へと向かった。


「おお、サンドラか。ようこそイーストビレッジキャンプ場へ」


 やってきたお客さんは古代竜のサンドラだった。


「今日は週末じゃないのに珍しいな。いつもみたいにお土産は渡せないぞ」


 いつもサンドラが来るのはこのキャンプ場が休みの前日だ。週末だと余った食材を使って簡単な料理を作ってお土産として渡せるからな。


 巨大な容量の収納魔法を使うことができるサンドラにしかできないことで、こちらとしてもキャンプ場で食材を余らせることがなくなるので、お互いWINWINなことである。


「久しぶりじゃな、ユウスケ! 実は今日は泊まりにやって来たわけではないのじゃ。前に言っていた妾の友がようやく起きたから、明日連れてきてよいかを聞きに来たのじゃ!」


「ああ、そういえば以前にそんなことを言っていたな」


 カレー料理大会が忙しくて完全に忘れていたけれど、以前にサンドラが友達を連れてきたいと言っていた。


 もちろん普通なら友達をキャンプ場に連れてきてくれると言うことなら大歓迎なところだが、サンドラの場合はちょっと事情が異なる。今はこのキャンプ場の女性の制服であるメイド服を赤くしたような服を着ている小さな少女に見えるが、彼女は悠久の時を生きる古代竜だからな。


 そのサンドラの友人というわけだから、普通の種族ではない気がする。


「念のためもう一度確認しておくけれど、本当に人を害する種族じゃないんだよな?」


「うむ、あやつは人を傷付けたりはせぬぞ。基本的には寝ているだけの無害なやつじゃ……まあ、寝ているところを無理に起こそうとするとちょっと怖いがのう」


「な、なるほど……」


 そういえば一月以上ずっと寝ていると言っていたっけ。この世界に本当にいろいろな種族がいるよな……


 人を傷付けたりはせず、以前に聞いたようにサンドラみたく身体は大きくもなく、そこまで食べたり飲んだりするわけでなければ、こちらから特に拒む理由もないか。それにサンドラの方が強いと言っていたから、結界の方も大丈夫だろう。


「了解だ。みんなにも話しておくよ」


「うむ、感謝するぞ! それではまた明日来るのじゃ!」


 そう言いながらサンドラはキャンプ場を訪れずに帰っていった。


 さて、サンドラの友達はどんな種族なのか、半分楽しみで半分怖いといったところだろうか。従業員のみんなにもちゃんと伝えておくとしよう。それとサンドラと仲が良いオブリさんも今日キャンプ場に来ているから、一応伝えておこう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ユウスケさん、サンドラさんがいらっしゃいましたよ」


「ああ、ありがとうサリア。すぐに行くよ」


 そして次の日、昼食の忙しい時間が過ぎた頃、サンドラがキャンプ場へやってきた。


「友達を連れてくると言っていたけれど、誰か一緒に来ていたか?」


「はい、サンドラさんと同じくらい小さくて可愛らしい女の子が一緒でしたよ!」


 小さい女の子……そういえば性別も聞いていなかったけれど、女の子だったのか。しかし、この世界ではサンドラのように見かけと強さは比例しないからな。サンドラの友達ということだし、普通の女の子というわけではないだろう。


「了解だ。悪いけれど、サリアも一緒に来てもらってもいいか?」


「はい、もちろんです」


 さすがにひとりだとちょっと怖いからな。今回はサリアに来てもらおう。




「「いらっしゃいませ、イーストビレッジキャンプ場へようこそ!」」


 サリアと一緒にキャンプ場の入口へと移動する。


 サンドラたちには悪いが、キャンプ場へ入る前に少し話をさせてくれと伝えていた。そしてキャンプ場の入り口には2人の少女がいた。


「おお、来たなユウスケ。こやつが妾の古くからの友のアンネルじゃ!」


「……アンネル、よろしく」


 アンネルという少女、背丈はサンドラと同じくらいの小さな女の子で、銀色の長く美しいロングヘアに水晶のような緑色の瞳をしている。年相応の可愛らしい黒のワンピースを着ていると思っていたが、彼女もサンドラと同じ長命種らしいから、実年齢はいくつか分からない。


 そして彼女の背中からはが生えていた。


「初めまして、このキャンプ場の経営者をしているユウスケです」


「従業員のサリアです!」


「うむ、こっちはユウスケとサリアで妾の友じゃ!」


 アンネルさんの方へ、ない胸を張りながらドヤるサンドラ。


 それにしても、黒い羽根ねえ。


「サンドラとは仲良くさせてもらってます。ええ~と、アンネルさんの種族をお聞きしても大丈夫ですか?」


「……吸血鬼」


「………………」


 ……さすがに吸血鬼はヤバイんじゃない?

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