世界の十字路19~希望ある未来へ~

時雨青葉

プロローグ

目覚め

 目を開くと、そこは深い洞窟の奥だった。



 ゆっくりと体を起こしてみる。



 体の動きがぎこちないし、声も上手く出ない。

 それが、自分が眠っていた時間の長さを知らしめた。



 ここは、一体どこなのだろう。

 今世界は―――人間は、どうなっている?



 ぼんやりとする頭では、なかなか思考が回らない。

 鮮明に思い出せるのは、意識が闇に落ちる間際に聞いた親友の声だけ。



「―――キリナミ……」



 どこかすがるように。

 かすれた呟きが、洞窟に反響しながら消えた。


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