御手洗由乃

ホームルームが始まった。

担任の御手洗由乃みてらいゆの先生は今年来たばかりの新任でおっとりしていて優しい。優しさ故かちょっと過保護な所もあるが、一部の男子生徒からはそこも含めて気に入られている。

「對馬くん、ホームルームが終わったらちょっと手伝ってもらえるかしら」

「あ、はい分かりました」

俺は教卓の真ん前の席だからなのかよくこうして御手洗先生に手伝いを求められる。大抵は配るプリントの持ち運びだったり仕分けだったり何てことはない作業だ。

他の男子生徒からは「あいつは御手洗先生のお気に入り」と羡ましがられたりからかわれたりすることもある。

御手洗先生は俺を気に入っているから俺を付け回しているのか?でも先生がいち生徒にそんなことするだろうか。それに学校にいる時はともかく、登下校の時や家にいる時、休日なんかはその視線の正体が御手洗先生だとは考えにくい。

結局学校内では怪しい人はいなさそうだ。


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