会場はこちら

規則的なゴリラ群はサージカルマスクのヒダの中に隠れているのです。寿司も食べれぬこのご時世、いかにお過ごしたてまつるは、絹ごし豆腐の綾のよう。同封の紙面に記載された七十二桁のゴリラマークを画面中央にご入力ください。雛形を作って持って参りますので、しばしご歓談の上お待ち下さい。


「良い子悪い子様々に、椅子の上から失礼するよ。今に見ていろこのケーキ、ピカッと光れば弾けるスプライト、誰彼構わず食べられないから君の一番の笑顔をこちらへ」


秘密のドアを開けて白い帽子をかむった男性が大広間へと入ってきました。り、り、り、り、りりりりり、ぐわあるるるる、りりりん。膝下からは大きなキリンのホウキ。芽が出る前から大分待っていたのです。一つ一つの筋には大切な節がついていて、それでもやっぱり戸惑いは止まりません。緑黄色野菜を持ってきているかどうか係の者が尋ねて回っています。ここのテーブルに来るまであと三十分はかかることでしょう。品切れのはずはありません。昨夜のうちに倉庫の中を確認していたのですから。タコが世間に紛れ込んでいる証拠なんてありません。そんな噂を欲しいままにしているのがマダムの良いところ。えも言われぬ旅立ちを何度も繰り返すこと手に入れたのでしょう。他のことには目を向けても良いのですよ、あなたもそうなのでしょう?サービスが整っているなら今からクロークをあけてちょうだい、あの曲がりくねった廊下にもう一度出るのだったら、めんどうだから私は帰ってしまいますよ。鍵付け秤の留め具がキイキイ音を立てて眠れないと言うのです。それならタンスの中にでも仕舞ってしまえばいいのに、鳥の調子を計るためだと言って表に出しているのです。大きなタンスの中にはリンゴの木が生えていて、それが天井を突き破って外へ出ています。天空で向きを変えたリンゴの木は下にしなだれて、今度は窓から部屋の中へ入ってきました。こんなに大きいならパーティーには持ってはいけないね。黒革の靴を履いておめかししなくちゃ。さあて、会場はこちら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る