第27話
土の四天王の土地は、低地に作られていた。
周囲からすると、盆地だな。
そこに大量の雨が降る。
大量過ぎる雨か……。
「一面水浸しだな。砂漠だった土地が、一面湖だ……。水捌けのいい土地ではなかったみたいだ。幻影だった?」
「へへ。どうでやす?
ガルーダは、リッカに媚びを売っているな。
「そう? お願い」
「サー、イエッサー!」
ガルーダが飛んで行く。
「契約したからと言って、信用し過ぎではないのか?」
「裏切ったら、魔力の供給を絶って、消滅させるわ。ね? イフリート?」
イフリートは、片膝をついて敬礼しているが、震えている。
そうだよな、リッカは、怖いよな。
ガルーダは、すぐに戻って来た。土の四天王……タイタンを連れて。
タイタンも、リッカに下るのだそうだ。
「全員、精霊界に戻ってね」
「「「サー、イエッサー!」」」
リッカは、なにを考えているのだろうか?
この先どうなる? 精霊王? 魔王軍を吸収して魔王を弱体化?
いや、魔王の孤立化を狙っている?
とてつもない逸材を育ててしまったようだ。ただ、走らせただけなのにな。
「さて、最後の四天王ね。水の四天王……リヴァイアサン。行きましょう」
「リッカと相性の悪い相手だったな。私が行こう」
「う~ん。大丈夫……かな? 三属性の下僕も手に入れているし。負けはないでしょう。でも、どうやって倒そうかな~」
リッカが分からない。頼もしすぎるのだけは確かだが。
◇
最後の四天王の砦へ向かう。
向かうんだけど……。
「沼になっているな……。通れんぞ?」
「う~ん。乾くまで2~3日かな……。まあ、待ちましょう」
一面、水が引いたと言っても、湖から沼地に変わっていた。これでは、歩けない。
飛べれば良かったのだが、ガルーダは、長距離となると人を運べないと言って来た。
待つしかないか……。
その時だった。
また、私の〈索敵〉になにかが引っかかった。
「なんか来ているな……。川を泳いでいそうだ。大きくて、速いぞ!」
「……向こうから来たのかな? 手間が省けたわ」
誰が?
待っていると、デカい
いや、これが蛇型の竜? 水竜?
リッカが、3体の精霊を呼び出す。
イフリートが、語り出した。
「久々だな、リヴァイアサン……。私は負けて契約した。もう、魔王様には従えない。他の者も同じだ」
短いな~。もっと経緯を話せよ。リッカの強さとか、怖さとか。
そもそも戦っていないのに、『負けて』ってなんだ? 『降伏』だろうに。
「うむ。勝てる気がしない。ワレも下ろう。それにしても、魔族領を水没させるな。それは、ワレの仕事だぞ?」
イフリートとガルーダが、笑い出す。
科学の知識をちょっと使っただけなんだけど。それと、リッカの魔力が多過ぎたからだな~。
「後は魔王様次第だ。まあ、悪い様にはならんさ」
「なんでもいいけど、従ってくれるのよね?」
「うむ。配下に加わらせて頂きたい」
リッカは、嬉しそうだ。
リッカの力が、日増しに高まって行くのが分かる。
もう勇者パーティーなど、秒殺だろうな。
今、止められるのは、私と魔王くらいか?
ゴリマッチョな、召喚聖女。凶悪な回復&狙撃付き……。
とても怖い人材に育ったものだ。
「今、失礼なことを考えなかったですか?」
「いや、なにも?」
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