第11話
「サラマンダーと言っても、火を噴くトカゲなんだな」
「サラマンダーを瞬殺して行くのは、ヘーキチさんだけニャ」
たいした脅威ではなかった。そして、いつも通りの突っ込みだった。
連続では火を噴けない。その間隙を縫って、近接戦闘で仕留めて行く。
ミルキーは毒矢だ。痺れる毒があるらしく、動きを止めてくれる。そして、一対一であれば、倒してもいた。短剣で急所を突いている。熱さ対策として、動きも素早くなって来た。一撃離脱のお手本の様になっている。
訓練を積んでいたのか? 知識だけ持っていた? この数日で急激に成長した?
とてもありがたい、バディーだな。
「ボスは何処かな?」
「ニャ、ニャンですと? ボスの討伐まで行うのかニャ?」
私の索敵には、残り十匹だが、どれがボスかは分からなかった。
「……サラマンダーが集まっていますニャ。ボスもいますニャ。それと、進言ニャ。性急過ぎるので、一度山を降りて作戦を立てた方がいいニャ」
確かに、一ヵ所に集まってはいる。
各個撃破される危険を回避する知能はあるのか……。
「包囲して来るのか、もしくは突撃か……」
「……聞いてないのニャ」
まあ、どちらでもいい。
殲滅するだけだ。私達に油断などない。不意打ちすら、避けれるだろう。
私達は、歩を進めた。
◇
すぐ隣で、溶岩が流れている。
肺が焼けそうなほどの気温。
私は訓練を受けているが、ミルキーはどうかな?
ミルキーを見ると、辛そうだが、なにも言わずに着いて来てくれる。見上げた根性だ。
『この娘は、大成する』
この数日で確信した。
この娘は心が強い。成功するのは、心の強い者だ。
そしてサラマンダーの群れが視認できた。
相手も私達を警戒している。
そして、それが目に付いた。
「あれが……、『異次元の扉』か。魔力溜まりに魔物が住み着くと生成されるという。私が、この世界に来た理由……」
扉の近くには、人骨らしきモノが転がってもいる。
私も、異世界転移場所が、この火山であったなら、若干危なかったかもしれない。
素手で、数百℃の魔物に急襲されれば、怪我を負う恐れもある。
初戦闘は、住み慣れた森での、虎で良かったと思えた。
私は、ライフル銃で狙撃することから始めた。
――パン、パン、パン、パン、パン、パン……
――バタ、バタ、バタ、バタ、バタ、バタ……
「残り四匹」
もっと連射できるアサルトライフルとかが、欲しいな。
そうすれば、終わっていた。
ここで不利を悟ったのか、サラマンダーが近づいて来た。
トカゲの速度など、たかが知れている。
それをミルキーが吹き矢で迎撃した。
痺れて動けなくなるサラマンダーを、私が叩き潰して行く。頼もしい以外の言葉がない。
「残り一匹」
最後の個体は、『異次元の扉』の前で鎮座していた。
「あれが、ボスニャ……。撤退を進言しますニャ!」
そうなのか? 私の索敵には他の魔物との違いが分からなかった。多少大きいくらいだ。
ミルキーは、敵を見破る目を持っているんだな。
『鑑定』とか言ったか?
だが目的を目の前にして戦闘も行わず撤退とは……。慎重すぎやしないか?
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