第8話
私は、斧と戦槌を振り回した。
前方に陣を張っていたゴブリンの群れが、吹き飛んで行く。
ここで、背後から攻撃が来た。
「犬の顔……、コボルトだったかな?」
即座にバックステップを行い、コボルトの背後に回る。
コボルトは、私の動きを知覚すらできないようだ。実力がないので、不意打ち専門といった者なのだろう。
――グワシャ
戦槌で背後から打ち据える。コボルトが吹き飛んで行った。
武器として申し分ないな。これは使える。
ここで、ミルキーが狙われていることに気が付く。
3秒後には、囲まれるだろう。
ミルキーは、吹き矢を用意していた。毒矢かな? 一応は、武器を持っていたのか。短剣が、メイン武器ではないのだな。
そうか、ミルキーはまだ本気ではなかったのだな。ミルキーの本領を見てみたい気もするが、囲まれるのは危ない。
私は、一足飛びでミルキーの元へ向かった。
「ニャ!?」
私は、ミルキーを担ぎ上げて、樹頭に登った。
ミルキーは、信じられないといった感じで私を見ている。
「銃の弾込めを頼めるか?」
「は……、はい。ニャ……」
ミルキーを降ろすと、さっそくライフル銃の弾倉の交換を始めた。
ここで数匹のゴブリンが、矢で攻撃して来た。弓持ち……ゴブリンアーチャーかな? しかし、地面からの狙撃とは芸がない。樹に登り、水平射撃か上方から狙撃が基本だろうに。
私に狙撃してくれと言わんばかりの位置だ。
「数は……、八。面倒だな」
私は、予備の短剣を投擲した。
弓が飛んで来る。その矢を叩き落して、投擲する。しばらくすると、矢は飛んで来なくなった。弓手は真っ先に倒さないといけない。
基本だ。
「できましたニャ。六発の連射が可能ですニャ!」
ミルキーが、銃の弾倉を交換してくれた。そうか、ミルキーには銃の知識もあるんだな。任せておいて何だが、期待していなかった部分もあった。
私は、斧を幹に叩きつけて、固定し、ライフル銃を受け取った。戦槌は、枝にかけておく。すぐに取れるようにだ。
地上に向けて、銃口を下す。
絶好としか思えない狙撃位置だ。目標がとても良く見える。
――パン、パン、パン、パン、パン、パン……
――バタ、バタ、バタ、バタ、バタ、バタ……
「……百発百中ですかニャ?」
「六発だぞ?」
指揮官と思われる、六匹に早期に退場して貰った。これも集団戦術の基本だ。
飛び道具持ちはもういない。頭も刈り取った。
後は、数とデカいのだけだ。
そう思っていたのだが。
――ベキ
私達が乗っていた樹をへし折りやがった。
ミルキーには、隣の樹に移って貰う。ライフル銃は渡した。
そして、私は、再度地面に降り立った。斧と戦槌を持って。
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