第7話

 度々魔物の襲撃がある。私は、銛で迎撃だ。

 だが複数の敵に囲まれると、銛に『かえし』があるので、2匹目以降に手間取る。どうしたものか……。武器を変える必要があるかもしれない。

 そもそも、銛は海で漁をするための物だ。陸での戦闘には向いていないかもしれない。


「古代の戦争。槍か薙刀か……、矛あたりがいいかもしれない。武器屋に寄ってみるか」


 そんな事を考えている時だった。


「あ! 冒険者ニャ……。倒れているニャ」


 私の視力は、両目10.0なので、だいぶ前から視認していた。

 ミルキーは……、視力5.0くらいだろう。斥候レンジャーとしての素質も十分だ。


「返り討ちにあったみたいだな。銀の認識票のみ回収して行くか」


「待ってくださいニャ……。何か変なのニャ」


 何か考えがあるのか?

 ここは、ミルキーに任せて進むことにした。





「野犬に喰い散らかされた跡だな……」


 厚手の服ですら、牙の跡と思われる穴が空いていた。

 ここでミルキーが、何かを持って来た。


「銃と斧、それと戦槌?」


「弾は、百発くらいありましたニャ。それと、装飾品ニャ」


「銀の認識票があれば、追い剥ぎ認定されないことは知っているが……、これを受け取るのは、気が引けるな」


 とりあえず、ミルキーの強い勧めで、ライフル銃を一発撃ってみることにした。

 目標は二百メートル先の……、熊だ。

 仕留めそこなったら、銛ではなく斧での迎撃だな。向かって来ればだが。


『手に慣れない武器を扱う自信はないが、銛以外を覚えるのもいいだろう』


 ――パン……ドサ


 当たったようだ。このライフル銃……。思ったより使えるかもしれない。今の一発で弾道も理解した。

 スコープがあれば、なお良い。使いこなせるだろう。

 それと、構造だな。分解して理解しなければ。手入れのされていない銃ほど危険な物もない。


「ニャ!?」


 ……む?

 集中し過ぎていたようだ。〈索敵〉が疎かになっていたな。


「周囲、50メートルに多数の、魔物確認。ここは、魔物の巣もしくは、狩場だったんだな。いや、隠れていた? 地面に伏せていたのか?」


 気配を殺していたのか? 私の〈索敵〉を逃れて近づいて来るなど、相当な手練れだな。称賛に値する。


 いやらしい笑みを浮かべた、ゴブリンが数匹出て来た。彼等が先ほどの冒険者を倒したのか? 偽装も施して?

 魔物の中にも、知恵者がいるらしい。


 私は、銛とライフル銃、そして弾をミルキーに渡した。

 右手に斧を、左手に戦槌を構える。


「それらの武器は、両手で扱う物ですニャ? 片方を置いてくのニャ!」


 ……そうなのか? 大きく軽くはないが、片手で十分に扱える物だった。

 私は、森から出て来たゴブリンの一団へ向かって突進した。

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