◆




K.Y『アスクロまじ萎えたわ。あの不具合はない』


顔面崩具『アスクロ? ムカついて先週消してやったわwww』


アマリリス『運営どうなってんの?』


ゆまてゃ『イベントは面白かったからヨシ!』


真下チカ@ガチャ禁失敗『アスクロ、ゲーフェス参加するっぽいね。公式に載ってた』


太陽姫『ディヴァの隣じゃんw 悲惨なことなんない?』


瑠璃@フレ募『あんな不具合を出す怠け者揃いの運営だよ? どうせ既存絵の展示だけだって』


インポスター多田『んーみんな厳しいね。詫び石結構手厚かったと思うけど』


ワイは汝・汝はワイ『暗黒時代を乗り越えてきたワイ、涼しい顔でタイムラインを眺めるの巻』


第七人格『アスクロまだ燃えてんの?』


折鶴さや『不具合がっかりだったけど辞められない。アスクロには結構思い入れある』


亜音-ANON-コスプレイヤー『お仕事告知☆ アストラ・クロニクルの公式コスプレイヤーとして、ゲームフェスティバルのブースで受付をさせていただきます! みんな来てね!』


ラーメンオタのメンマ『ゲーフェス行くわ。金欠? 知るか!』


チキンディナー『有名レイヤーで客釣ろうと必死なアスクロくん』


ねここ@ゲーム垢『アスクロがんばれ。応援してる』

────……





 日本最大級のゲームの祭典ゲームフェスティバル・ジャパンは、複合コンベンション施設暮張くれはりメッセで開催される。総展示面積約8万平方メートルの広大な敷地にところ狭しとブースが並び、報道関係者も多く集まるという。


 本番一週間前。今日からブースの設営準備が始まる。


「ぬわー! 暮張メッセ、中には初めて入りましたけど広いですね!」


 受付を済ませて入り口をくぐると、天宮が周りを見回しながら感嘆の声をあげた。


 暮張メッセの入り口は二階で、一階のイベントスペースへは階段を降りて行く必要がある。


 組み立て前の舞台装置や、ブルーシートの上に無造作に置かれた機材たち。忙しなく行き交う大勢の関係者やスタッフ。そんな光景を見下ろし、浬も思わずごくりと息をのんだ。


 ゲームの祭典──クリエイターにとってのバトルフィールド。


「ところで久城さん、荷物大丈夫ですか? 片手あいてますし、やっぱりひとつ持ちますよ」


 両手いっぱいに荷物を抱えている浬を、天宮は気遣うように言った。今日、設営担当として出てきたのは浬と天宮、宇佐見、黒木の四名。雪平と花里、東はオフィスで作業中だ。


「いや、大丈夫。ありがとう」


「浬ちゃん、無理しちゃだめよ。コントローラーより重いもの持ったことないでしょう?」


「誰がだ。これでも少しは……鍛えて……る……」


「ゲームでですよね?」


「ゲームででしょう?」


「絶対ゲームじゃん!」


「…………降りるぞ」


 じーっと見つめてくる女子三人に背を向けて、浬はすたすたと階段を降りた。エレベーターもあるようだが、今は機材搬入用として使われている。


「えーっと。ホール8の、エスの6……こっちか」


「おおっ、エス! 幸先良いですねっ」


「だよな。エスランク的な意味で、いいよな。エス


 天宮の言葉に頷いていると、宇佐見が驚いたように仰け反った。


「えっ、何それ。ちょっとよくわかんない。浬ちゃんと星七って、たまーに謎なところで通じ合ってない?」


「そうね。SMの話かと思ったわ」


「いや、ゴメン、それもわかんない」


「浬ちゃんはMだと思うのだけれど、どう?」


「えーっ、あたし逆派ー!」


「何の話だ?!」


「………………………………」


「真剣に考えんでいい、天宮」


 そうこう話しているうちに、ようやく目的の場所へと到達した。エスの6、ゼノ・ゲームス、アストラ・クロニクルと印刷された紙が、仕切り用のロープに貼り付けられている。

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