第50話 世界樹破壊

「さて。ベルル様の恩恵に与れなかった憐れな無能次男などどうでもいい。【魔弓の勇者】オリヴィア。ここで死んでもらおう」


 次いで、レテは右の人差し指を突き立てる。


「君は下がってろ」


 オリヴィアさんが進み出た。弓を捨て、短剣を二振り取り出して構えた。


「スキル【ジェネレート・アルデバラン】。スキル【サンダースラスト】。スキル【アクアシールド】」


 巨大な水塊が上空に現れ、砕けた。雨のように水滴が飛び散る。その水滴たちを這うようにして電流が走るが、オリヴィアさんの霊力に弾かれた。


 いや、弾かれたというより、相殺された?


 こいつ、一つ一つのスキルに霊力を纏わせている。これでは、オリヴィアさんの霊力が削り取られてしまう。


 持久戦に持ち込む気か。


 それでは、手数と霊力の多いレテの方が圧倒的有利。俺たちも加勢しなければ、勝機はない。


「まわりくどいんだよ」


 オリヴィアさんの双刃が、アルデバランを叩き割った。


「今すぐ最強のスキルを出せ。それで私を殺して見せろ」


 オリヴィアさんは規格外の挑発をしてみせた。


「いいだろう。食らってみろ。スキル【ツリー・グラビトン】。スキル【フレイムバーン】。スキル【ムーンフォール】」


 三重のスキルの発動と同時に、地鳴りが始まった。木の枝の砕ける音がする。まさか。


「世界樹を破壊するために、いくつもの魂を取り込み、すりつぶし、かき混ぜてスキルを合成した。それもこれも、忌々しい世界樹の守り人たる貴様を殺すためだ。オリヴィア!」


 世界樹の砕ける音か。


 どんなスキルの合成をしたのか知らんが、名前からして樹木にかかる重力を操作するスキルだろう。これではマズい。奴までもが復活する。


「ヴェールデ! 会いたかったよ?」


 ルクレツィアの声がする。


 ということは……


「邪神ベルル!」


「キャハハハハハッ! 私の祝福を受けなかった愚かな血族。無能次男の烙印を押された可哀想な子。大好きなお姉ちゃんに殺されるのなら、本望でしょう?」


 ルクレツィアに憑依したベルルが、早速現れた。


「【城塞召喚】!」


「スキル【レゾナンス】」


 すかさず振動のスキルが発動し、ヴィアクさんから受け継いだ城塞は木っ端みじんに砕かれた。


 邪神相手には質量攻撃も効かない。どうする?


 このままじゃ全滅だ。

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