ボカロ旅 ～「VOCALOID」タグを最初から全て視聴する～

”ニコニコらしさ”を感じる

2007年8月13日投稿『ラヴォスコアが倒せない　をメイコが歌う』から行程再開

　少し間隔が空いてしまったが、また旅を進めていきたい。前回話した大量の反響だが、ここ2～3日ですっかり落ち着いてしまった。まああんなに注目されるのも苦手なので、本来の気楽さを今のうちに取り戻しておきたい。

　まだカバー曲や替え歌がVOCALOIDタグの多数を占める時代を歩いているわけだが、1つ面白い動画を見つけた。『組曲『電子工作』 feat. VOCALOID』という作品だ。2007年6月に投稿されたメドレー作品『組曲『ニコニコ動画』』の替え歌のカバーである。はんだ付けなど電子工作にまつわるネタを歌った替え歌となっている。工作に縁のある人なら思い当たりのあるネタも多いのではないだろうか。残念ながら『電子工作』の本家は削除されてしまっているらしく、現在は視聴することができなくなっている。

　『組曲』はニコニコ動画の歴史においても人気の高いメドレー動画であり、当時のサイトで人気のあった楽曲をメドレーに組み込んでいる。派生作品も多く、歌ってみたやMAD動画も多く作られている。その内の1つが先の『組曲『電子工作』』である。つまりこれのカバー作品は、派生作品の派生作品ということになる。大元の『組曲』もメドレー形式の作品であるから、正確に言えば「メドレーの替え歌のカバー」という非常にややこしい関係となる。4次創作とでも呼べばよいのだろうか。

　しかし、この『組曲』の派生のように、1つの作品から複数の派生が生まれ、さらにそこから派生が広がっていくという流れは、実にニコニコ動画らしい。そのニコニコ動画らしさにVOCALOIDが関わり始めた時期というのがこの2007年という時代なのかもしれない。ちなみに本家の『組曲』にはボカロオリジナル曲は含まれていない。ニコニコメドレーシリーズにボカロ曲が収録されるようになるのは、もう少し先の話である。

　また、今回の行程の中では、僧侶シリーズとVOCALOIDのコラボ作である『僧侶とMEIKOで「ＹＡ・ＤＡ・ＹＯ」』も見られた。僧侶シリーズとは、Delay Lama（ディレイ・ラマ）と呼ばれるソフトウェアシンセサイザーを用いた動画のことで、Delay Lama独特の僧侶のアニメーションや読経っぽい音源で人気を集めていた。ニコニコ動画内では「坊歌ロイド」とも呼ばれ、『僧侶のアクエリオン』などの動画が作られていた。確かにニコニコ動画で人気を集めそうな特徴を持っている音源である。2002年に公開された音源であるため、2004年に販売開始されたVOCALOIDから見れば先輩にあたる存在ともいえる。

　面白いのが、現在でもDelay Lamaが使用された楽曲がニコニコ動画に投稿されているということだ。2007年当時ほど使われているわけではないが、実に20年にわたって使用され続けているということに驚いた。おそらく最新の作品は、今年の7月に開催された「無色透名祭」に投稿された『あーAA』という楽曲である。投稿者本人によるネタばらし版も投稿されているため、ぜひ聴いてみてほしい。極楽浄土感のある独特な楽曲であった。

　今回の旅路では、ニコニコらしさがあふれる動画に出会うことができた。使われる元ネタや音源の豊富さなど、調べるだけで面白いものがたくさん存在している。時間はかかるだろうが、出会った動画やクリエイターに関しては積極的に調べながら進めていこうと思う。また、何か関連情報を持っている読者がいらっしゃれば、コメントで色々教えてほしい。では今日の行程はここまでにしておこう。

2007年8月23日投稿『LoveSong探して　ロボットが歌う』にて今日の行程終了

『組曲『電子工作』 feat. VOCALOID』

https://www.nicovideo.jp/watch/sm838051

『僧侶とMEIKOで「ＹＡ・ＤＡ・ＹＯ」』

https://www.nicovideo.jp/watch/sm871100

『あーAA』

https://www.nicovideo.jp/watch/so40786586

（ネタばらし版）

https://www.nicovideo.jp/watch/sm40852266