第4話
僕は今、彼女の理香の家に居る。
緊張で心臓がドキドキしている、
なにかあることを期待しているわけではないが、やっぱり緊張が止まらない。
「私の部屋、こっちだよ」
言われるがままに、理香の部屋に入っていく。
流石優等生、整えられた本棚、綺麗に並べられたファイル達、余計なものが一切置かれていない机、窓から差し込むオレンジ色の光が、部屋の整った様子をいやがうえにも引き立てているのかもしれない。
「はーあ、疲れたぁー」
理香はそう言ってベットに飛び込む。
ブレザーを脱ぎ捨てて、セーターを放って、
リボンを外して、シャツの第一ボタンを外す。
僕は何をしたらいいか分からず、理香に投げ飛ばされた制服たちを畳んだ。
「秋君、ママみたい」
そう言って楽しそうに笑う。
僕は理香が寝転がる隣に座った。
「ねえ、理香の親御さんは?お仕事とか?」
「うん、今日も帰り遅いみたい」
「そっか」
そういえば小学生の頃から理香の両親は帰りが遅いと言っていた気がする。幼いながらに寂しいんだろうなと思ったことを思い出した。
「秋君がいると寂しくないね」
「それはよかった」
そう言ってから理香は僕の足の上に頭を乗せて眠ってしまった。
気づけば2時間も経っていた。
理香が起きて、僕は家に帰ることにした。
理香と僕は別れ際にハグとキスをして別れた。
その夜のことだ。
理香から一通のメールが来た
「今夜、いや、明日の朝かな?26時くらいに一緒にお散歩しよ?」
どうしてそんな時間なのかはわからないが、何故か行かなければいけない気がした。
「あ、秋君。来てくれてありがとうね」
僕は生まれて初めて親に内緒で家を抜け出した。初めて犯した禁忌だった。
「じゃあお散歩しよ。」
「お散歩ってどこに行くの?」
「どこに行くのか決めていないからお散歩なんじゃない」
僕と理香は2時間程ゆっくりと歩きながら夜中の街並みを歩いた。
世界に僕らしか居ないと錯覚する様な不思議な感覚だった。
理香はまた写真を撮った。
僕は指を入れ込ませた。
理香はクスクスと笑っていた。
「私、最初はダメ元だったの。だって、こんな時間に来てくれるって、よっぽど私のこと大好きじゃないと無理じゃない?」
なんだか僕の心を優しく擽る言葉だった。
「僕は理香のこと大好きですから」
「そうだね、嬉しいな」
僕は理香が大好きだ。
それ故に、きっと僕は理香に言われたらなんだってしてしまう気がした。
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