s.m.c.3 最弱だった男 イールズ キリウィン偏

@nainatu-movie

力なき最強の日常

ペンを持つそして目の前にある鳥の骨を観察し紙に特徴を書きスケッチする。

何年も化石や生き物を書き続け朝のルーティンとなったほどだ。

1時間が経過する時計の針がグルグルと周り2時間が経過する。スケッチが完成した。

白髪の頭を隠すように黒の中折れ帽子を被り黒と白のスーツに身を包みドアに手をあて

「父さん、見回りに行ってくる」

「ああ~そうか」

外に出る1900年代のニューヨークのような町が目の前に広がる。

歩道を歩く、しばらく歩くとコーヒーショップが見え店内に入る。

「ブルーマウンテン」

「かしこまりました」

1.38$と表示され財布から金を取り出す

そして机におく

机の上にコーヒーが置かれる

「ありがとうございます」

といいコーヒーを受けとると

「毎日ここに入らしてますよね」

「ええそうですと」

「少し見ていて思ったんですけど、もしかして」

「志願兵なんですよ。見てわかりました?」

コーヒーを渡してくれた女性の店員さんが

「え、あそうなんですね。

すみませんその、気づかなかった。

あ!ひょっとして」

小さな声で

「能力者?でしたら体格何て必要ないですもんね?

国から推薦?」

「い、いやその、僕は無能力者で…」

「すみません」

「…」

「…」

「それでは、パトロールをしなくちゃいけないので」

「またのご来店お待ちしています」

店を後にする、しばらく道を歩き路地裏に入る

ここの路地はよく人が集まり薬や暴力行為が行われているからだ。

道に入ると苦しむ声と笑い声がする。

走り出すそして目の前に自分より年上の男が小さな男の身体中にレンガを押しあて潰している。

「やめろ」

年上の男が振り向き

「なんだガキか、いや待て能力者か?」

少し焦った表情で聞かれる

「能力がなきゃ話しかけてはダメなのか?」

「んだよ、無能力者かよ」

「やれ」

そういうと後ろから前から更には上から人が出てくる

殴りかかってくる

激しい痛みが走る

蹴られ殴られの繰り返しだ、そんな中でも小さな男に近づき、年上の男を殴り能力を解除させる。

小さな男に向かい

「逃げて!」

「は、はい」

小さな男は逃げどこかに消える。

レンガが飛んでくる、お腹に当たり吹き飛ぶ

「もう行くぞ」

力を振り絞り

「待て!俺はまだ生きている、目がついてないのか?」

彼らの前に立ちふさがる

「どけ」

「う!」

レンガを飛ばされお腹に当たる

「おい!お前達止まれ、軍のものだ」

軍の男は銃を構える

そして打つ

銃口は黒帽子の男を向いているが銃弾は全て年上の男達の足に当たる。

「ぐぅ」

「痛いだろ?」

「貴様能力者か」

「ああ、そうだそいつの親友である」

軍の男が近づいてくるので質問をする

「なんできた?」

「いつもお前は能力がない癖に無茶して」

「そりゃ軍人になるんだから無茶しなきゃ」

「まだ一回も志願して合格になったこともないのに?」

「それでも続ける」

「無能力者でも軍人になれる」

「成人になったらな」

「成人になる前にだ」

「無理だな。能力は16から成人扱いで軍に行くのも簡単だ、で無能力者では16からじゃ難しい体格が良ければ簡単だが」

「じゃあ結局、力か。

でも諦めない一度決めたことだ」

「そうかよ、でも今夜のパーティーは来いよ」

「わかっている、最後だ」

「いや帰ってきてもう一回やるから最後ではない」

しばらく時間がたち路地から出て家に帰宅する

家が見えて来る、そして一階に入り階段を上り

ドアに手をあて家に入る

「ただいま」

「また無茶したの?」

「母さん、人を助けただけだ」

「やるのは良いけど、逃がしたら逃げるいつも言ってるじゃない」

「逃げたよ」

「嘘ね、立派な軍人さんに聞いた」

「ヘンスか」

「お帰り我が息子よ。

また無茶したのか?」

「まぁ、ね」

「まぁいいシャワーを浴びろ、綺麗な服に着替えて、帽子を被れ」

「わかった」

水が傷にしみる、後で治さなきゃいけないと思いながらシャワーを浴びる。

シャワーから出て服を着ると糸と針を用意し傷をふさぐ。よくケガをするので針の痛みぐらい慣れている。

傷薬を塗り鎮痛剤を飲む。

時間に余裕があるので薬学の本を開き机に座り読み進める。

時計の針が進み三周目

「イールズ行くぞ」

「わかった」

「帽子を被って」

「被ってる」

「そうか、行くぞ。母さん8時には帰る美味しいデザートを用意しといてくれ」

「はいよ」

外に出るいつもとは違い騒がしい町と変化している

兵士達が国のために戦う事を祝い、後日戦地に送り込むものだ。

本当なら僕もあの祭りのメインのはず。

祭りの中心部に行く、そこでは軍服を着た男達が大声で言っていた

「我々は国を愛しています。

必ずやヒルをこの手でなきものに。

そして誓う必ずや愛する人の元へと帰ることを」

周りの人が一斉に声をあげる。

そのなかには僕を助けてくれた軍人のヘンスがいる。

「さぁみんなこの町の最後の夜だ楽しもう」

と言うと軍服の男達はステージから降りる。

周りを見ると屋台が出ていた。

「父さんまずどこから?」

「好きな屋台から」

「ケバブでも食べよう」

「そだな」

大きな肉の方へ近づく、父が店主に話しかける。

「ケバブを二つ」

「あいよ」

ケバブの皿を持ち食す。

「うまいね、父さん悪いが友達の所行ってくる」

「ああ、そうか」

「すみません、もしかして貴方キリウィン先生ですか?」

「そうですが?」

「実は妻がお世話になって」

「なるほど、もしかしてヘンス君の親?」

「そうです!、是非お礼を言いたくて」

「父さんもう行くね」

「行ってこい、1時間したら帰ってこいよ

どこかで食事でも」

父から遠ざかる

「実は今回嬉しい報告がありまして

実は俺の息子のヘンスが兵隊になったんですよ」

「そうなんですか!」

「ええ、息子さんは?」

「実は家は代々無能力なんですよ」

「そうなんですか?」

「ええ、うちの息子それでも諦めないんですよ」

「信じれば報われますよ」

「私も信じてますよ」

周りが騒がしい軍服の男達を持ち上げている

大きな建物に入る、そこには軍人達の写真が飾られていた何枚も、ここに僕が乗ることはあるんだろうか?

そんなことを考えていると

「よ、イールズ俺を祝う気はないのか?

兵隊の写真ばっかみて」

「祝う気持ちはあるさでも周りが騒がしくてどう言えばいいんだろって」

「今言えよ、今なら良く聞き取れる」

「おめでとう、戦地に行ったら手紙を書いてくれないか、心配だ」

「書くに決まっている、また受けるのか?」

「当然」

「もう諦めたほうが」

「何言ってるんだ?」

「だって20回も受けてる」

「たかが20回だ、なんでそんなにやめて欲しい?」

「もし受かったらどうする?」

「ふざけてるのか?」

「だからもし君が受かって死んだらどうするんだ?」

「戦地に行かず、のんきに町で働いてろと?」

「そうだ」

「いや諦めないさ、医療班としてでも入るんで無理やりにでも戦う」

「死にたいのか?」

「みなのために戦いたい」

「まぁいいさ、受けてこい」

「ああ、行ってくる」

入り口に入り受付の机に紙をおく

「志願兵か?にしては小さいが?

能力者?」

「無能力だ、志願兵でもある」

「そうか、不合格だ。」

「検査をしてくれ」

「検査をせずともわかる」

「志願してきた物には必ず検査をするはずでは?」

「わかったよ、奥に行け左に曲がり一番奥の部屋に入れ」

「ありがと」

奥に進んで行く

不合格というスタンプを押される

「待ってください、私は薬学に精通しています。

それに哲学にも」

「そのようだな、だが君は体も小さいそれに薬学のレベルなどたかがしれている。君でなければいけない理由が分からない」

「ですが…」

「帰れ、不合格だ」

「待ってください」

「君より頭も良くて体も頑丈な有能な兵士が待っている」

静まり返る少し考え

「わかりました」

検査室をでる、そして出口へと向かう中もう諦めろ、無能力者、不合格という言葉が頭をよぎる。

いつもなら不合格ぐらい余裕なのに

「君待ってくれ、検査をしたい」

「検査ならしました不合格だ、無能力者です」

「不合格な無能力者な君に話がしたい」

「はぁいいですよ、笑い話聞かせてあげます」

「ありがとう、一番奥の部屋に行こうか」

奥の部屋に入ると不合格と言った男がいた

「なんのようです」

「兵士とお話を」

「兵士?どこにいるんです?」

「ここにいるだろ、小さな兵士が」

「なにを言って?」

「出ていけ」

「え、」

「私は軍の研究者ユダズマダーヤ。

証明書もあるぞ」

「…わ、わかりました、」

男が出ていく

「え、と話しとは?」

「簡単だ、質問をしたい。君は何回審査を受けた?」

「バカにしてるのか?

悪いが今は」

「答えてくれ」

真剣な表情で言われる。

だが狙いが分からない一人で笑いたいのか?

そんなことを考え答える

「20回」

「いえ、今回で21回です」

「そんなにかw」

「やっぱり笑いたいだけか、帰らせてもらう」

部屋を出ようとする

「兵士になれる、それも最強の」

思い止まり振り返り顔をみる

その顔に笑顔はなく真っ直ぐに僕の顔を見ていた。

「なりたい、みなのために戦いたい。

命をかけて。」

「なぜ」

「悪党が許せない、虐殺、差別を見ていると怒りが湧いてくる」

「それが理由か?敵を殺戮すること?怒りに任せ」

「虐殺はしない人は殺したくないどんな人にも償いのチャンスを与える」

「戦争中でもか?」

「ああ、なるべく

殺しにくるなら倒すのみ

殺しやしない」

「信念か?」

「ああ、殺さずの正義

敵には改心」

「いいね、合否を出すには時間がすこしいる」

「いつです?」

「明日の朝かな」

「不合格ですね、分かってます。

新兵達の笑い話にしてください。

それでは」

「朝になればわかる」

検査室から出る少し不機嫌な態度をとりながら

外に出る父のところに行く

「どうしたまだ8時までは時間が…」

「もう帰る」

「待て…」

家に向かう、すると軍服を着た男に話しかけられる

そうヘンスだ。

「どこに行くんだ?

俺はまだ生きてるぞ?

目ついてんのか?」

「目が覚めた、俺がどう頑張ってもバカにされるだけ」

「俺考えたんだ、命を捨てて欲しくないだけで兵士をやるなって訳じゃなくてつまりその医療班に推薦を」

「もういいよ」

そう言い帰路をたどる。

その途中路地から声が聞こえる

道路では殴られている人がいる

全て無視をする

家に入る

「お帰り、まだ早いけどって

貴方だけ?」

「早めに帰ってきた、もう寝るよ」

「何があったの?」

「何もない」

「殴られたあともない」

「今日は平和だった」

「事件を見つけるまで帰ってこない」

「じゃあ、何かいつもボロボロな姿で帰ってこいって?」

「そうじゃない、貴方がいつも言ってた

事件を一件でも多く解決するまで帰らない

そうすれば笑顔になる人増えるから」

「だったらそんな男はもう死んだ」

自室にはいる扉を強くしめ

大粒の涙が出る。

最悪の日だと思いながら

扉を叩く音が聞こえた母だ

「話をする気はない」

「聞くだけでいいの

貴方は小さい頃からヒーローだったいじめられている子を助けて変わりにいじめられて

銀行強盗が起こった時は自分が人質の変わりになる

友達がマフィア関係に行ってしまった時は助けを求められた時も真っ先にマフィアを殴って友達を助けようとした。

貴方といるといつもハラハラする。」

「なんで捨てないの?」

「捨てる?どうして心配するけど誇らしいのよ。

そんなスーパーヒーローが」

「無能力者だよ」

「私が知ってるヒーローは能力なんて気にしない

命をかけて人を守る最強のヒーロよ」

「理想ばっか追いかけてバカみたいじゃない?」

「確かに理想的だけど人助けは全力でするじゃない

時には医者として、色んな方法で人を助けている」

「そっか」

「ヒーローさん今日はゆっくり寝て、明日からパトロールしなくちゃいけないんだから」

扉を開ける帽子を被る、

「母さんすまない、デザートまで時間ある?」

「あるわよ」

「ありがとう、パトロール行ってくる」

外に出るさっき見かけた道路で殴られている人のとこに向かう。

走っていると先ほどの人たちが見えて来る

「おい、やめろ」

と言った瞬間吹き飛ぶ

「嘘だろ?」

そんなことを言っていると殴っていた男達の背後から人が出てくる

「今さらパトロールか」

「ヘンス、君がやったのか?」

「ああ、そうだ」

「パトロールは今からやるところだった」

「なんで、こんな遅いんだ?」

「その不合格で自分を見失って」

「そうか、でもさ俺が医療班に推薦しておくから」

「本当になら嬉しいよ」

「なぁ最後になるかも知れないんだ話さないか

さっきはほら帰ってしまったから」

「わかった話そうでも待って」

「はいこれ」

殴られた男に薬を渡す

「大丈夫ただの傷薬だよ市販に売っているやつ」

「あ、ありがとうございます」

といいどこかに言ってしまう。

「ベンチに座ろう」

「ああ、そうだな」

近くのベンチに座り込むと軍服を着たヘンスが話し始める

「10年間お前の親友をやって思ったことがある」

「それは?」

「命知らずなところ、どんな事が起きても困っている人がいたら助けるところ」

「お疲れ」

「おいおい、お前に言ってるんだぞ」

二人で笑い会う

「いいか、、今まで無茶して生きて行けたのは俺がいたからだ、俺はもういなくなるだから無茶するなよ」

「確かにそうだな、いじめも銀行強盗のときもマフィアのときも助けられた」

「そう、助けたそのお陰で今じゃ軍人」

「良かったな」

「良かった?お前を助けられない」

「それでも無茶するよ、戦う方法がある」

「どんな方法?」

「教えない」

「そうかよ」

「なぁヘンス」

「ん?」

「俺実は別に軍人になりたいわけじゃないんだ」

「知ってた」

「だよな」

「悪人と戦う手段を得るためだろ」

「そうだ、でも今回で諦めようと思う」

「なぜ?そう言えば今回焦ってたな」

「君と行きたかった、そうすれば無茶できる」

「なるほど、だからか」

「そろそろ行くよデザートを食べなきゃ」

「そうか、最後に色々話せて良かったよ」

握手をし、ハグをする

「帰ってこいよ」

「当然」

帰路をたどる家が見えて来る。

扉を開け、家に入る

「ただいま」

「パトロールは終わり?」

「うん、軍人さんが助けてくれた」

「それは良かったわね。

デザートを食べましょ」

「美味しそうだな」

「父さん帰ってたのか?」

「ああそうだ」

机にデザートを置いていく、そして食事をする














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