第85話 お茶くみ令嬢 〜元喫茶店マスターは異世界で喫茶同好会を開きました〜を読んで夜のひと時を過ごしちゃいました。
●今回の読書作品
【作者】 ウェーブ・ケプター 様
【作品名】 お茶くみ令嬢 〜元喫茶店マスターは異世界で喫茶同好会を開きました〜
●今回の読書会参加者
加納友美:動物と話せる高校生。オールジャンルOK なりきりスキル発動によりどんな作品も対応可能。
カラスのカラッチ:かつて死と言う事に対しての価値観の違いから、友美さんを怒らせた淡々とした性格のカラス
毛ガニの毛ガニッチ:クール便で友美さんの家に届けられた、マイペースでちょっと幼い毛ガニ
イグアナのイグッチ:ゆっくり過ぎるイグアナ。
ガチャ。
(え?何これ?誰が準備したの?)
私は読書会が開催される自室に入るなり、テーブルの上の光景に驚愕しています。
薔薇の花のイラストがあしらったテーブルクロスが被せられ、その上には一輪挿しの花瓶に百合の花。ブラックコーヒーが熱々と注がれた白いコーヒーカップ。
(てか、私ブラック飲めないんだけどな……)
「友美ちゃん!砂糖入れる?カニカニ!」
毛ガニッチはテーブルの上で、両手で角砂糖を器用に掴み持ち上げています。
「………」
(よくつぶさないで器用に持てるね…。力の入れ加減も絶妙だよ……毛ガニッチ)
「友美ちゃん。所で今回の作品の主人公の女の子の名前をフルネームで言えるかい?」
解説役のカラスのカラッチは、カーテンレールを止まり木にして、私を見下ろしながら質問しています。
「え?えっと……。お茶くみ令嬢の……えっと……あ!コルネリア・ローリング伯爵令嬢だ!」
「ご名答!この作品は、主人公の通称であるお茶くみ令嬢と言うのが、タイトルにもなっている事。そして、ウェーブ・ケプター様と言う変わった作者さんの名前、其田乃様の表紙の絵のインパクトが絶大で、主人公の本名が印象薄いと個人的に思う。だがそれは別に問題ないんだ。友美ちゃん。何故だかわかるかい?」
「え?」
「本名よりも通称の方が有名と言う作品のキャラは他にも沢山あるからだ。例えばルパンの銭形のとっつあんや、ジャイアン、ジャイ子、いなかっぺ大将などだ。これらの作品の主人公のフルネームを全員言える人はそうそういないと思うぞ」
「………」
(なんとなく、わかるようなわからないような……)
「と……っ…つ………あ………ん…の本………名…………」
「あーはいはい。イグッチはとっつあんの本名を言おうとしてるんだよね。そんな事は今回の作品に全く関係ないし、ゆっくり過ぎて朝になっちゃうから、極力発言は控えてね。あとこれで三度目だけど、小さい【っ】は前後の文字とくっつけてね」
「そんな抜群の存在感を誇りキャラ立てしている、お茶くみ令嬢のコルネリアさんの物語だが……」
「たまには私があらすじ言うわ!カニカニ!」
「え?毛ガニッチが?……う~ん。まあ、いいよ」
「フルーツサンド食べて、お茶を飲む話だわ!カニカニ」
「………」
(一瞬でも毛ガニッチに期待した私が馬鹿だった……)
「やはりそれは僕の方から説明するとしよう。前世が喫茶店の男性マスターである、コルネリアさんが、異世界の伯爵令嬢に生まれ変わり、周りの批判をもろともせず、学園内に同好会と言う名目の喫茶店をオープンさせる。そしてそこに来店する様々な、恋愛を含む人間模様を、ほぼ一話完結で構成された、ヒューマンドラマっぽさも持ち併せている、とても落ち着いた世界観の物語だ」
「ショートケーキ食べたいわ!カニカニ!」
「………」
(絶対に駄目よ。食べ物がいっぱい出てくる作品で浮かれるのはわかるけど、あなた死んじゃうよ?久しぶりだけど、アサリかハマグリにしなさいね)
「短編集みたいな感じで、本当に安心して読めるよね。読後感もいいよね!」
「友美ちゃんの言う通りだ。とても落ち着いて、上品な作風は喫茶店、午後のひと時にどうぞ!的な作品だと思うぞ。その世界観を実現させた作者さんには脱帽ものだな」
「話……も………よく…出……来て……」
「あーはいはい。イグッチは一話一話の話がよく出来ているっていいたいんでしょ?」
「そ……う…な………ん…………で………す……」
「そうだね。イグッチの言う通りだと思うよ。少しだけ早く話してくれると助かるんだけどね」
「と……く…………に………ナ…ポ………リ………」
「あーわかったよ。イグッチはナポリタンの話が特にお気に入りだって言いたいんでしょ?連続で会話に入って来られると、三点リーダー打ち込むのめんどくさいから、連続での発言は極力控えてね」
カラスのカラッチはカーテンレールから降りてテーブルの上に着地。
「そうだな。各自お気に入りのエピソードがそれぞれあるんじゃないか?でも、この作品は全体を通して、それぞれのエピソードは一定のレベルで安定しているから、そう言う意味でも落ち着いて読める作品だな。そしてこれらのエピソードがどう繋がっていくのか?ここもこの作品の今後に期待したい所だな」
「そうだね!あ、でも私、この作品のエピソードにメリーバッドエンド的な不思議要素があってもいいかな?なんて思った」
「推理要素があるエピソードもあったからな。色々と可能性が広がる作品だと思う。個性的な登場人物も増えてきて、どう活かすかも注目だ!」
「うん!そうだね!」
「恋……の……………行方………も………」
「あーわかったよ。イグッチは恋の行方も気になるんだよね?でもイグッチには全く無縁の物だから、気にし過ぎて更にゆっくりになっちゃ駄目だよ?」
「最後に言わせて欲しい。この作品は現在約20万文字ある長編なんだが、それを感じさせない何かがあるんだ。と同時に、短編集の形で、しかも一つの舞台でこれだけ続けられるのはとてもすごい事だと。これも付け加えて今回の読書会を締めさせて頂く」
「うん!」
「友美ちゃん!角砂糖10個入れといたわ!カニカニ!」
「え?」
(あー。沢山入れるシーン読んだんだね。あなた数の概念ないでしょ?余計なおせっかいはやめてね)
私はその後、劇甘ドロドロのコーヒーを苦笑いで飲みながら、朝までカラッチと語り合いをしていました。
作者 ウェーブ・ケプター様
この度はありがとうございました。
今回の作品はこちらからどうぞ!
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