そしてまた空が青くなって、
灰月 薫
プロローグ とある雪の日に
「…君、生きてる?」
雪が、降った。
この地域では、雪なんて珍しいものだ。
流石の天気予報も、こればかりは予想できなかったようで、傘も何も持ってなかった。
そんな日だった。
僕は目の前の少年に声を投げかける。
うっすらと目を開いて雪の中に横たわる少年。
僕が握った彼の手は、どうしようもなく冷たかった。
…このまま放っておけば、死んでしまう。
たった一本の細い糸で繋がった、だが、まだ確かにある生命。
そう分かったからこそ、僕は彼に尋ねた。
_____生きてる?
…いや、正確にはこう質問したかった。
_____生きたい、って思ってる?
彼の死んだ目が少しだけ動く。
その唇が、微かに引き上がった。
……小さな、肯首。
それだけで、十分だった。
僕は、彼の腕を引き上げた。
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