299(肉球)カフェ
アラガキ アラタ
第1話
ゴンっと音が鳴る位にテーブルの脚に頭を擦り付けるのが堪らない猫。そんな行動をしながら、さっき自分がお客様のテーブルの上に吐いたカリカリの猫餌を片付ける店主の姿を見る。
299(肉球)カフェの店主・森本(もりもと)「ごめんなさい、すぐ片しますから。もう、ポチは暴れるとすぐ吐いちゃう癖があって」
ポチと呼ばれる茶トラの猫。その飼い主であり、このカフェの店主の森本が、せっせとテーブルの上を綺麗にする。
山岸(やまぎし)「良いの良いの。いつも、ここにいる猫ちゃん達に癒してもらってるんだから。大したことないのよ」
常連のおばあちゃんである山岸さん。ポチはテーブルの下からひょいと山岸さんの膝の上に乗り、グルグルとご機嫌良く喉を鳴らして丸くなる。
森本「いつもありがとうございます。ではごゆっくり」
ポチは山岸さんがお店に来ているときは必ず、山岸さんの側で遊んでいる。今日はそんなにお客さんがいなかったが、森本夫婦と6匹の猫達で営む肉球カフェは何かと慌ただしい。
店主の森本は、注文が入ったドリップコーヒーの準備の為、コーヒー豆を機械に入れて挽いていた。店内に挽きたてのコーヒー豆の良い香りが広がる。ポチは鼻をクンクンさせてチラリと森本を見る。山岸さんに頭を撫でられると目をつむり気持ち良さそうにしている。
すると、店主の奥様である里子(さとこ)さんが小皿に何かを乗せてポチの方へやって来た。
里子「ポチ、山岸さんの足が痺れちゃうから。こっちにマタタビあるよー」
山岸「あらあら、ポチ君の大好物」
ポチは、コーヒー豆の良い香りの中から現れたマタタビの香りに気が付き、まん丸に目をかっ開いた。
カンカンカンカラカラッ
ポチは颯爽と床に置かれた小皿の上のマタタビに飛び付く。猫パンチに猫キック、マタタビを抱き枕の様に掴みながら噛みつく。
山岸「ヤンチャな子だねーポチ君は」
ポチはマタタビで、ひとりアイスホッケーをするかの如く、店内の床を縦横無尽に走り回っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます