第24話

「きゃーー。ソフィよ!貴方!ソフィよ!こんなに大きくなっちゃって!しかもこんなにも美人さんになっているわ!私と瓜二つじゃない!双子コーデ出来るじゃない!」


グイグイ抱きしめながら叫んでいる。く、苦しい。


「その辺にしないか。ソフィが窒息してしまうぞ」


「本当だわ。あらっ、ごめんね。つい興奮しちゃって」


……何だろう。


母からテヘッって声が聞こえる気がする。


「陛下。お母様はいつもこんな感じだったのですか」


「あぁ。可愛いであろう?」


陛下の眉は下がりっぱなしだわ。


「きゃー!貴方ったら!嬉しいわ!貴方も少し見ない間に渋くなってイケメン度が増し増しよ!私、後6人位貴方の子供産めちゃうかも!」


若干引き気味の私とルイ。何故か母と陛下だけは別世界の住人に見えてしまうのは気のせいでは無いはず。


「ところでソフィ。私は聞きたい事があるのだけれど」


先程とは打って変わり、冷たい声になる。睨みつけるように私を見ている。母の言葉を聞き、陛下も表情を変えた。


「はい。お母様」


「貴方は誰?」


空気が一気に変わり、張り詰めた緊張感が押し寄せる。


「誰と申しましても、ソフィとしかお答え出来ません」


「そうね。質問の仕方を変えるわ。肉体は眠りに入っていたけれど、私は結界内の事を見ることが出来ていたの。


生まれてから貴方が国を出るまでに読んだ本は結界に関しての書籍では無いわ。それに魔力は有っても魔法は使えなかったわよね」


流石に王妃と呼ばれる程の人だわ。


未だに側妃達が恐れ敬うのが分かるほどの威圧。知られたく無かったけれど、このまま知らぬ存ぜぬでは生きて帰れる保証は無い気がする。


母から放たれる威圧に跪き応える。


後にいたルイも跪いて青い顔をしているわ。


「お答えします。伯爵家で読んでいた本は全て魔法についての本ではありましたが、結界や高度な術式が記載されている物ではありませんでした。


私は商人へ売られ、馬車で移動途中に荷物に頭を強く打ちつけた事により、自分の前世となる過去を思い出したのです。


私は約300年前の王宮魔法使い筆頭補佐官、サーシャ・ラジエータ。身分としては子爵令嬢です。


サーシャは魔力が少ないながらも魔法の特殊性から筆頭補佐官へ抜擢されました。その特殊性とは、攻撃魔法から治癒魔法に至るまで全ての魔法を使いこなしていたからです。


勿論、当時は筆頭補佐官としてこの結界の修繕維持もしておりました。そしてその過去を思い出した時に、現在の私ソフィは魔法を使う事が出来るようになりました。


ですが、今は使える魔法の特殊性から悪用される事を恐れ、治癒魔法以外はなるべく使わないようにしております」


母は威圧を解き、震えている。私は黙っていた事で何が罰せられるのか。心臓の震えが止まらないわ。


「きゃーー!凄いわ、ソフィ!流石私の娘ね!貴方、凄いわ。感動しちゃうわ!300年前の魔法使いよ!当時の聖女や勇者も知ってるのよね!!」


「あぁ。凄いな。流石は私とフィラの娘だ」


抱きしめ合う陛下と王妃。


やはり2人だけ別世界の住人だわ。


喜んでいる所に扉がノックされる。


「宰相と側妃様や王子様達がお見えです」


「入れ」


陛下のその言葉に側妃様達が入ってくる。

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