ネタ尽きた

 窓際の席で四角に囲われた外を眺める。今日の天気は曇り後雨のち大雨のち晴れだ。つまりイルージョン!


 もう5時間目も終盤、お腹が膨れ睡魔が襲い眠くなり、だるくなる。みんながそうなることだから仕方がない食欲と睡眠のダブルパンチには勝てないのだ。


––––痛っ……


 右側からプリントを丸めたゴミが飛んできた。桜からだ。俺はプリントを開き書いてある文字を見る。


(おめふつてる!)


 あ?字きったね。何語だこれ……


(なんて書いてんだ?)


 丸め直して投げ返す。ストライクだ。そしてそれはすぐ打ち返される。ストライクとは。


(あめふってる?)


 嘘だろ?これ書いてたのか?字が小学生レベルだ。しかも俺の隣の席だし見えるだろ。雨の音もしてな…………左を見て驚く、そこには水のカーテンが、降り注いでいた。


 そして時間が過ぎ放課後。


「形君!傘忘れたの!いれて!」


「折り畳み傘貸してやるよ」


 俺はそう言って傘を貸す。俺は今日の朝天気予報を見てここまで予想したのだ。預言者さま形さまだ。


「折り畳み傘ちっちゃいじゃーん!」


「じゃあこっちってあれ?」


 今日持ってきたはずの傘が無くなっていた。パクられたなこれ。うちの学校では名前の書いてないビニール傘は誰でも使っていいという謎理論でよくパクられる。


「やっぱり折り畳み傘返してくれ」


「え?さっき捨てたよ?」


「は?俺のだぞあれ。」


「相合傘したかったんだもんしょうがないじゃん」


「めちゃくちゃしょうがあるよ」


こんな会話をしているうちに雨は勢いを増し、ザーっと言う音を奏で出した。いや、生姜あるよ。なんで生姜あるんだよ。


「よし桜、走るぞ」


「ついて行きますぜ親方」


「どんなキャラだよ」


 このセリフを合図に俺と桜は走り出す。そして桜は「三日ぶりのシャワー」と叫びながら注目を集め、俺は「紫外線きもちー」と言いながら周りを引かせる。そして言っても女子の桜と万年ベット生活の俺はすぐにバテ歩く。


「あー、スカートの中までビチャビチャだ」


「お前スカートじゃないだろ」


 ツッコミながら桜に目をやりすぐ逸らす。こう言うのはちょっと下着が透けるぐらいがラブコメ的にはちょうどいいのだ。


「お前、せめてブラはしてこい」


「へへ、さっき外したの」


「頭のネジをか?」


 雨が晴れ天に登る梯子は俺の汚い心を浄化してくれそうでしてくれなかった。

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