だから私は筆が遅い

鶴丸ひろ

はじめに

 エッセイというものを書いてみたいと思いました。


 日々生活していたら、いろいろ思うことがあります。私も就職して早6年。若手のレッテルはすでになくなり、上司と後輩に挟まれてあれやこれやする立場になりました。

 

 そんなことをしていると、日々考えていることを棚卸たなおろしたいなあ、なんてことを思うのですが、ブログもYoutubeもしたことない私としては、その手段が思いつくこともなく、なにか発信できる方法はないだろうかとあれこれ模索していたのです。人間関係とか、仕事の進め方とか。日々の生活とか。そういうことをアウトプットできる方法はないだろうか、と。


 で、エッセイなんかどうだろう、なんて思った次第なわけです。


 とはいえ、「エッセイを書きたい」という気持ちが芽生えてから、こうして書き始めるまでに相当の時間を要してしまいました。


 理由は単純。

 私の筆が遅いからです。


 こういうのはスピードが大事です。やりたいと思ったら、その場でパッと始められる人が強いのです。


 アウトプットして、フィードバッグを受けて、またアウトプットして、その繰り返しで技術は向上するのです。最初からうまくやろうと思ったって、できるわけないんですから。こういうのは早くやったもの勝ちなんです。


 そう。やったもの勝ちです。頭ではわかっています。わかってはいるのですが。


 何かを始めようとすると、頭の中で指摘されてしまいます。


「いや、お前が何を発信できるの?」

「そもそも、継続して書き続けることなんてできるの?」

「みてくれる人もいないのに、何のために書くの?」


 筆が止まるのです。


 じゃあ、と思うわけです。

 じゃあ、他の人のエッセイを調べてみようと。なにかを参考にさせてもらったら、突破口が見えるかもしれない。何事もマネから入ればいいのだと、なにかの本で読みました。仕事も勉強もそう、野球でもギターでもプレゼン発表だってそう。基本というかたにはまることから始めるべきなんです。

 というわけで、エッセイを読み始めます。すると、エッセイが面白いものだから、読み続けて、気づけば1日が終わっているのです。

 そしてこうなるわけです。


 明日やろう、と。


 でも、明日になったら明日になったで、せまりくる日常を対処しているうちにあっという間に時間が過ぎてしまって、いつしか「エッセイを書いてみたい」という気持ちすらどっかに飛んでいってしまうのです。そして時間が経ってしまって、ある日突然エッセイのことを思い出して、「今度こそやるぞ」と頬でも一発叩いて気合きあいを入れて、でも例の如く脳内でごちゃごちゃ指摘を受け、Googleで「エッセイ 書き方」なんて検索して、ブログを梯子はしごして、「エッセイってむずかしいなあ」なんて思って、「明日やろう」になって、無限ループの完成です。


 だから、私は筆が遅いのです。


 小説もそう。書くことは楽しい。アイディアも浮かんでくる。プロットも組めてる。だけど、本編を書いていると「うーん」と。これは面白いのだろうか、と。そして他の小説を参考しようとして、小説を読み始めて、答えは見つからなくて、「また今度」でブラウザ閉じる。


 趣味なのに。

 楽しいから書いているはずなのに。


 悩んでいる間は、成長しません。もちろん、考えることは大事です。でも悩んでいても進まない。だったら、悩む前にやってしまえと。


 肩の力を抜いて、思ったことを書いていったらよろしいではないかと。


 それで、目を瞑ってでも文章が書けるようになったら、その時初めて脳内からの指摘に応えていったらいいのではないかと。


 読まれる文章はどんなものかとか。

 エッセイとはなんぞやとか。

 そもそも個人のエッセイなんて需要あるのかとか。


 そんなもの、後回しです。

 

 だれだってそう。初めからできる人はいませんから。


 というわけで、誰かに届けば儲け物という気軽さで、エッセイを始めてみようと思うのです。

 

 こんな人間ですが、よろしくお願いします。

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