11話 いざ探検
「今日は祭りでもないのに賑やかだな。」
「巷のうわさで秋の国の三大武士の娘が鬼の国にいると大騒ぎになっているらしいです。」
「え……」
「あ!あれって!」
「榊様と王雅様だ!」
ある町人夫婦に声をかけられた。
「王雅様毎度お世話になってます!」
「前は世話になったな。いつも城の野菜調達をありがとうな。」
「いえいえ!長らくご贔屓にしてもらえて光栄です。」
「榊様!よかったらこのきゅうりという食べ物を食べてみてください!」
弥禄殿が食事で出したのを覚えている。ちなみにその時はすでに味がつけられていたから味付けのないまま食べるのは初めてだ。
きゅうというのは緑色の棒状であの時は弥禄殿が包丁で食べやすい形に切ってくれたのが分かる。
食べてみるとぱりっとせんべいのような咀嚼音がし、中からみずみずしいものが口の中に流れ込んだ。 中は柔らかくて少し甘い気がする。
「……!美味しい……!」
「よかったです!!実は秋の国で売りたいんですけど、人間の王が『すまんのう。我が息子と妻の許可が降りぬのじゃ。』って言ってたんですよ!」きっと氷雅様が鬼に関するもの全てが嫌いだからだろう。
心の中で「ごめんない!」と思った。
「良かったら持っていかないかい?鬼の国のきゅうりは常温で2週間くらい持つし、冷やしたり、漬物をしたりするともっと日持ちするんだよ!」と奥さんがニコッと笑って鬼の八重歯を出してそう言った。私は躊躇いもなく
「頂いていきます!」と元気よく言った。
「貴方様の母上様によく似られておっしゃる……」
「え……?私の母上を知っているのですか!?」
今まで誰からも母上のことを聞いたことがなかった。それに形見とかもなにもなかったのに……
「私の母上は……」
「すまない。茶々急に連絡があった。行くぞ。」
「え?……すみません!きゅうりありがとうございました!!」
王雅様が急に連絡があったと言い私の腕を引っ張って城に戻った。
城に戻り王雅様に尋ねた。
「なにがあったのですか?」
「実は……お前の父殿から手紙が来てな、緊急で見て欲しいとのことで。」
渡された手紙の内容を読むと
『愛しの娘の茶々へ。鬼の国の暮らし楽しんでる?父上は秋の国に一旦帰るけどまたこっちに来るからしばらく鬼の国の王のところで生活してもらうからよろしくね!あ、王にも言ってあるし、ご機嫌で了承得たから楽しんで暮らしてね!父上より。』
ほ、本当ですか……?そしてそんなに緊急性なくない……?
王雅様が私の読んでる手紙を横目で見て
「あはは!しばらくこっちで生活するのか!今夜は宴じゃ!」
と大声でいいその声は拡張され、町の人にも届いたらしい。
「ってなんですか!この衣装!」
「お似合いですよ!茶々殿!」
「可愛い〜!」
2人は私に天女のような衣装を着させた。
可愛いのはいいんだけどちょっと透けてる部分が多いというか……
「織田殿!沖田殿!これ透けてる部分多いです!変えてください!!」
「じゃあ下の名前で呼んでくれたら変えるよ!」
「僕も!!」
「……雄星殿、魁都殿。衣装変えてください!!」
「「やーだね!」」と言われ2人はいつの間にか風のような速さでどこかに行ってしまった。
私は仕方なく衣装を脱ごうとしたところ
「茶々の裸が見れるのは最高だな」
「きゃー!!」
振り返った先にいたのは王雅様だった。
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