第8話 聞きたいこと
タツヤは俺のことを全て話した。今もこいつらの会話を聞いていること、タツヤにのみ語りかけられること、俺とタツヤの人格が入れ替われないこと。それから、
俺が転生していて、前世の記憶を持っていること。
嫌われたり、距離を置かれるなど、よほどの覚悟がないとできないことだ。それほどまでにタツヤも悩んでいたということなのだろう。
だが俺が懸念していたこと、そしてタツヤが恐れていたであろうことは、起きなかった。
「つまり、ロンさんも原因は分からないと?」
終始この女、ミコトは笑いもバカにしたりもせず、ただじっとタツヤを見つめて話を聞いていた。
どこか読めない、他とは違うところがあると思っていたが。正直予想外だった。
『タツヤ、俺が言うことをそのまま伝えろ』
「ロンから聞きたいことがあるって。えっと..なぜ人格が離れたのか知りたい、なぜ上書きされなかったのかも、だって」
11歳だが、ミコトならこの問いに答えられる気がした。プライド的な面では確かにボロボロだが、現代人の方が詳しいのは確かだ。
「ロンさんの人格が形成されたのは最近なんですよね?なら、」
まとめるとミコトの考えはこうだ。
俺の人格がタツヤの人格が形成された後に宿った、もしくは目覚めた。だからお互いの人格は当たり前に違うわけで、融合するはずもない。重要なのはなぜそのタイミングでタツヤの中に目覚めたのか、宿ったのか。そのトリガーとのことだ。
そして直後に目覚めた説も否定された。タツヤが寝ると俺の意識も強制的に落ちるからだ。タツヤが生まれた瞬間に俺の人格が入っていたならその時に体は乗っ取れていたはずだと。つまり、宿った。ということになる。
しかしなぜ?
やはり色々調べてみる必要があるだろう。今日は帰った後タツヤには悪いが付き合ってもらおう。
この時代にはスマホとかあるし、すぐ分かるだろ。たぶん。
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