魔法のミニチュアランド~「このミニチュアの様々なモノを取り出せば、現実世界に実物大のそのモノが現れるゾイ!!」~
ふるなる
魔法のミニチュアランド
その男らは困っていた。
建築会社の社員達に突きつける数々の問題。地球温暖化の影響で環境に悪いものは設計できない。森林減少で木材の値段は上がっている。そして、他の会社とは一線を画するものを造らなければならない。それなのにこの会社は生存の限界がすぐ目の前にあった。
「はぁ、どうすればいいんだよ」
ため息を吐く男達。
そこに慌てふためく仲間がやってきた。
「す、すごいのを発見したぞ。大発見だ。これがあればすごい家が建てられるぞ」
その男が仲間を連れて、裏路地や草木生い茂る森の中を進んだ。その先にある地下への階段を下ると、そこにはミニチュアで埋め尽くされた世界が広がっていた。
「めちゃくちゃ広い────」
男らは驚きを隠せなかった。
そこへとやってくる怪しい影。ホログラムのような、しかし影のような、フードに身を包む存在がやってきた。
「ここは秘密のミニチュアランド。ここにあるミニチュアを取って、外の世界に置いて魔法をかけると、そのミニチュアがこの世界の大きさまで巨大化します」
つまり────
「ここのミニチュアの家を取って、外に出して、それに魔法をかければ……。そのミニチュアの家が本物となって現れるんだ!」
「これが本当なら、建築費用が浮く。しかし、こんな夢みたいな話、本当なのか? 俺は信じられねぇ」
「実際にやって見ては如何です? そこのミニチュアは自由に取って貰って構いません。魔法は右肘に手を当てながら右手で左の肩甲骨に触ります。そして、大きくがに股になってこのように叫んで下さい。『ンリトヌプペャンガ』とね」
男がミニチュアの前にやってきた。
「ごめんよ。貰うなぁ────」
二階建ての一戸建てのミニチュアを外して、手に取った。そして、少し離れた場所にそれを置いて、こう叫んだ。
ンリトヌプペャンガ────、と。
そうしたら、どうしたものか。ミニチュアと同じ見た目の家が現実世界の大きさになって現れた。どうやら夢のような話は本当だったみたいだ。
「こりゃすげぇわ!」
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