(三)-9

 それを考えれば、父も母も、同じように殺されたに違いない。父は死体が上がったが、母は結局行方不明のままだった。ともかく、殺されたのは間違いない。実家の土地建物も、既に取られてしまった。そして警察はこれ以上動いてはくれない。

 国分は裁判で宝殖産興業の社長が全て悪いと無罪を主張していた。しかし、宮崎社長は無関係を主張し全ての罪を国分になすりつけていた。

 恐らくこれらの一連の事件の実行犯は国分で間違いないのだろう。しかし、それを後ろで糸を引いていたのは、宮崎社長だと思われた。もちろんそれは裁判記録にもないし確たる証拠があるわけでもない。

 しかし、俺はふと考えたのだ。国分が全ての罪をなすりつけられたというのであれば、国分は社長の宮崎を、多かれ少なかれ恨んでいるのではないか。

 そうして俺は、父と母を殺したこの二人を復讐することを考えた。そして国分に計画を持ちかけた。「あんたを売った宮崎に復讐しないか」と。


(続く)

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