【長編】太陽の女神、月の男神

ふろたん/月海 香

第一部

プロローグ

 夏至げしの夜、儀式は行われた。巨大なフラスコに向かって男は怪しげな呪文と舞を捧げる。フラスコの中で混ぜられた材料が少女の形となり金色に輝く瞳をあらわすと男は歓喜した。

「成功だ!!」

 フラスコから生まれた少女は何が何だかわからないまま、生みの親に向かって微笑んだ。

「お前の名前はソルだ」

「はい、私はソルです」

「ああ、ソル! 美しく輝く娘!」

男は高い声で笑いながら少女の前で両腕を突き上げた。

「あとは魂だけだ!! それが揃えば……太陽の女神は完成する!!」

フラスコのソルは生みの親が嬉しそうだったので自分も微笑んだ。

「はい、お父様」

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