苦楽苦々日々

エッセイナリ

　人生は何も辛いことばかりじゃないって、先生が言ってた。

　そりゃそうだよ。当たり前の事を当たり前の様に言って、人を励ます事ができるとこの人は勘違いしている。

　楽しかった事はすぐに忘れるのに、苦しかった事はいつまでも覚えている。

　それが人間だって言うけど。そんな苦しみばかりじゃなくても良いんじゃないかなって思うよ。

　なんで神様は、そんな風に私達をお創りになったのだろうか。

　正しい事なんて無いし、悪い事なんてない。善悪も存在しない。

　苦しいよ。いつまでも、わだかまる思いが消えない。　

　苦しいよ。

　前を向いて生きろって言われても、苦しい事ばかり思いつくのに、無理だって。

　でも、そんなの気分でどうにでもなっちゃう自分のいい加減さが気に食わない。

　良い事が有れば前を向けるし、悪い事があればとことんまで俯いたままだ。それが人間だと私は思う。

　けど、良いんだ。世界に正しい事なんて無いんだから。

　誰もが、何をしても良い。

　人間が作ったルールに人間が縛られる。人間には個が存在するから、足並み揃えて共存しなくてはならない。

　それは生きる為。

　何をしても良いとは言った。

　でも、私は殺されたくない。死にたくないわけでは無いけど。

　感情と理性は別として、私たちは生きている。

　別に今すぐ窓を開け放って、輝く夜空に身を落としたって良い。でも、君を愛する人は、それを良しとしないし、きっと悲しむよ。

　誰かれ構わず凶器を振るって、数多くの命を奪ったって良い。でも、君はより多くの人に恨まれるし、傷つけられるし、殺される。

　やって良い事と悪い事なんて存在しない。

でも、君はコミュニティのルールを守るし、善性を保って生きている。

　皆んな、優しすぎるんだ。

　何をしてもいいのに、しっかりルールを守って生きている。

　偉い。

　私は何をしても良い、と言われたところで、何をすれば良いかも分からないが。

　少なくとも、自分のやりたい事なんて、本当はないって思ってる。

　何かをやらなきゃいけないっていう焦燥感が、ジリジリジリジリ迫ってくるから。

　私は何かがしたいんだって、思わないといけない。

　何もしたくないよ。

　死にたい。

　でも、生きてる。

　自殺しようかな。みんな悲しむかな。痛いのは嫌だな。漫然と生きるのは苦しいよ。でも生きていた方が良いって言われるよ。死んだ後なんて、誰にも分からないのに。

　死後。

　私が死んだ後の世界は、きっと変わらず回り続けるんだろうな。

　人が死ぬのは当たり前だし、それを前提として世界は回ってるから。

　私は生きても死んでも、ずぅっと世界の歯車であり続けるんだ。

　私が死んだ後に行く世界は、きっとドロドロと輝いてて、生きていた頃には無かったものが沢山あって。

　愛とか、愛とか、愛とか。

　笑顔と暴力が絶えなくて。誰もが平等に苦しくて、切なくて。

　そんな理想を抱いて、妄想してる。

　私はまだ生きてる。

　私の求める世界は、きっとここじゃないと思う。

　馬鹿な事だって言われる。

　でも日に日にそんな想いが確かな形として募っていく。

　ここではない何処か。

　それは何処だろう。

　探しても分からないから、やっぱり死ぬしかないんじゃないかな。

　苦しい日々。

　明日はどうしようか。

　きっと楽しいよ。

　でも昨日も今日も辛かった。

　良いことあるかな。

　最近ずっと心が沈みっぱなしだ。

　前を向こうよ。

　うるさいな。

　苦楽苦々日々。