柊其 星奈と異世界LIBRARY

八雲 鏡華

PROLOGUE

開かれたページ

暗闇の中、床を打ち鳴らす足音だけが反響するように響いている


きしむ扉の音 時をきざむ音 浅い呼吸音 


それらを全て飲み込むようにおごそかな静寂が口を開けている


 「ねぇ、見てみようよ」


誰かが言った


 「じゃあ、頁を捲って」


誰かが答えた


紙がこすれる音を起点とし、全ての運命が動き始める


いつかも忘れたときを告げる鐘の音


隠された世界の幕が開かれた


空白のページにはどのような物語が記されるのだろうか

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