終焉のコルニクス
万珠沙華
第1話 序章①
1918-19年
全世界的に大流行したH1N1亜型インフルエンザ 通称スペイン風邪
スペインから流行したと言われているスペイン風邪は感染者は全世界で5億人にも及びインフルエンザパンデミック重度指数はカテゴリー5という最上位クラスとなった病だった。
流行と鎮静を繰返したこの病は予防接種をも原因として大流行と死亡率を高めた恐ろしい病気である。
2019年-2050年
全世界に大流行したCOVID-19 通称コロナウィルス
中国から流行したと言われるコロナウィルスは恐ろしい勢いで感染者を増やし、わずか一年で感染者が全世界で7000万人を越えた。多くの国がこのコロナウィルスの対応に終われる中社会経済との両立もあり多くの国が流行と鎮静を繰返した。そして感染者だけではなく後の世にも未だに深く大きな傷跡を残す多くの死者や後遺症患者を生み出した恐ろしい病だ。
そして
そう遠くない未来・・・
人類はウィルスとの戦いを余儀なくされたが医療機関が疲弊する中、ある国は斬新な一手を打つこととなった。
戦争に そしてビジネスにウィルスを利用するというものだ。
従来幾度となく利用されてきたウィルス兵器を公のビジネスとして展開するというこの案は当然国民に大変避難されデモ運動やテロといった対国家への摩擦も大きくなかなか古来より日の目をみることはなかった。
ウィルスを研究する施設においても、ワクチンを製作するという大義があったとしても民間からの圧力はかなりのものがあったといわれている。
だが民間からの制圧によりなんとかビジネスや戦争へのウィルス利用は抑えられていたが何事にも限界はあるようでとうとうこの日を迎えることとなってしまった。
ある国の時の人 ギッチエル総督はこうTVで宣言をした。
「私は、かのスペイン風邪に記録上初めての感染例となったアルバート・ギッチェル氏と同じ名である。この名前は亡くなったアルバート氏の無念を晴らせという同じ名を持つ我が一族の悲願であり戒めでもある。
私はここに宣言しよう。
もうウィルスには負けないのだと。
もうウィルスを恐れることはなくなったのだということを。
我々は何百年という時間をウィルスにおびえながら生きてきた。
だがもう我々が勝つ時代がきてもいいころではないか。
そうだろう?
私は今まで苦しめられてきたウィルスを逆に利用してやろうと思っている。
そして平安の時代を築きたいと思っている。
世界中がウィルスに苦しめられた1918年にスペイン風邪が第一次世界大戦を終息に向かわせたのと同じように我々がそのウィルスを利用して世界を平安に導こうではないか」
声高らかに響いた演説台は何度もフラッシュが光り新しい時代の始まりを告げた。
この演説から10年後、ギッチェル総督率いるある国はギッチェル総督を支持する様々な国を取り込み大きな大国家と化していた。
たかが小さな一国にすぎなかった国が世界を征服する、下剋上ともいえるその戦法は今までのモラルを覆し全世界を恐怖に陥れた。
国が大きくなるにつれて、次第にギッチェル総督の野望はウィルスに怯えない世を作り上げることではなく、権力を求め世界を制服するというものに変わってしまった。
そしてその野望の世界征服が叶うのではと噂されていたころ突然ギッチェル総督は流行病に倒れた。
己がウィルスに負けない世をつくるといったことを思い出させるように、ウィルスから仕掛けられたのだった。ギッチェル総督は初代ギッチェル アルバートギッチェル氏と同じように流行病に倒れ亡くなることとなった。
そして、政権は現総督 否 現大統領パソツール氏へと国の代表は引き継がれた。
医師より政治家になったパソツール大統領は前総督とは全く異なる政策で大統領制度を皮切りに医療制度の充実化や伝染病ごとの隔離施設の充実化に力を入れた。
さてつまらないので政治の話はこのくらいにしておこう
私が本当に紹介したのはこの政治の中でもがきあがく者たちの話なのだ
権力の中でもがく個人の力はとてもとてもちっぽけなものだけれど時には投げ込んだ石が大きな波紋になるなんてことは絵空事ではないはずだ。
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