第7話  妹の婚約者

 三日の昼下がりに屋敷の門の前に、二頭立ての馬車が着きましたわ。

 馬にも見事なまでに、飾りをつけて、豪華な馬車でしたわ。


 どれだけのお金持ちなのでしょう!!

 あたくしは、ジェーンに怒られながら、自分の部屋から覗いておりましたの。

 縁談の妨げになってはいけないからと、お父様とお母様に厳しく言われて、エドワゥとジェーンの監視付きで自分の部屋に待機させられているのですわ。


 遠目にしか見えないですけど、はちみつ色の髪の男性が、先に降りてきましたわ。

 それから、抱き上げる仕草をして、抱えられるように降りて来たのがミレーユでした。

 あのドレスは見たことがありませんことよ!!


「お嬢様!!」


「カミーユ様!!」


 あら、窓にペッタリ張り付いて、眺めていたものですから、バレてしまいましたわ。


「ジェーン。あたくしも支度をしますわよ。この間新調したドレスを着ますわ。髪のセットと化粧をお願いします。エドワゥはここにいて良いのですよ。

 あたくしがもっと、美しくなるところを見せてあげましょう。」


 あたくしがそう言うと、何故かエドワゥは気持ち悪そうに、


「いえ、結構です。お嬢様の悪事を伯爵に言いつけます」


 と言って、部屋から出て行ったのです。


「ジェーン!!追って!!」


「ダメですよ。お嬢様を一人にするなと厳命なのです。お嬢様は前科持ちなのですから」


「そのせいで、今までお嫁にも行けないでいるのですよ」


「いいえ、空腹に耐えられなかったのは、お菓子の食べ過ぎでまともに昼食を食べていなかったお嬢様に責任がありました」


「いいえ!アランがお金さえ持ってら、あたくしはあそこまで空腹になることはありませんでしたわ!!

 だから、貧乏なお家などお嫁に行きませんわ!!」


「それとイケメンですね……」


 ジェーンはため息をついて言った。


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