魂喰(たまくい)

松田詩依

プロローグ

 魂の重さ、二十一グラム。

 魂に重さがあるというのは有名な話だろう。

 生き物は生命活動を停止――つまりは死ぬと魂が肉体から離れていく。

 では、その空っぽになった肉体はただの骸? 答えはイエス。魂を失った身体はただの人形だ。

 我々はそれを様々な方法で葬っている。

 火葬で。土葬で。時には水に沈めたり、鳥に喰わせるというところもある。

 それは何故か。確かに死を悼むという主旨は大きい。だが、それは表の理。

 事実はこうだ。

 一つ、肉体から離れた魂が、あるべきところに還れるように。

 二つ、空の肉体に別の魂が入らないようにするため。


 別の魂が入った肉体は再び動き出し、人の魂を求めて彷徨い歩く。

 その化け物を『魂喰たまくい』と呼んだ。

 そしてその化け物退治を専門で行う『祓い屋』という者たちが存在している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る