第12話 英雄
ナンケー地方北東部 サナーガの首都チョーセーでは、太い眉で大きな鼻をした目つきの悪い小太りの男が、赤い派手な鎧を
「この
リョーブとの戦に敗れ帰国した
「兄上…大王…申し訳ありません…どうか罰を…」
「ふん!!当然だ!!こいつの首を
「お待ち下さい!!
「辞めろ!!
「フン!!
「兄上!!」
(フッ…なんと惰弱な……これも兄上が恐怖で支配した結果だと言うのか…ん?)
群臣達が恐れるなか 細身で穏やかな表情の男が一人、末席から前へ進み出て
「大王!!どうかお待ち下さい!!」
「ほう?
目の前の
「意見ではなくお
「フン!!くだらぬ話なら貴様の首も
「
「ほう?貴様は余の心は狭いと言うつもりか?」
「そ…その様な事は……」
「グフフフフ…今のは ほんの
「は…はっ…あ…有り難きお言葉……感謝いたします…」
「ふう〜…肝を冷やしたぞ…
「当然の事をしたまでです」
「
「
「申し訳ありません……」
「
「うむ…酒でも飲みながら語ろう…あの様な屈辱はシラフではとても語れん」
商業都市キィドでは 多くの民が
「ああ…姫様!?ようやくお目覚めに!?」
軍医と
「ここは……私は…」
「サナーガを追い払った後、
「3日も!!??……それで…あの外の騒ぎは?」
「それが…キィドの民が屋敷を何日も取り囲み……」
「民が…そう…民は怒っているのね…ここで戦をした事を……」
軍医と
「ど…どうしたの!?一体何が??」
「ウフフフ、あれは姫様を心配する民が何日も様子を見に来ているのです」
「私を心配して??どう言う事なの??」
「今や姫様はキィドの民10万の間では英雄ですぞ、その身を犠牲にして民の為に戦ったのです」
「え!!??私が英雄!!??」
「まさか…こんな事になるなんて……」
「民に慕われる英雄なら即位に反対されませんよ?」
「そ…それは……全部 貴女の…
「情報操作って恐ろしいですね?ここまで凄い事になるなんて想定外ですよ、アハハハハ〜!」
「仕掛けておいた本人が言う?…全く…店先に自分のお菓子やら
「そうそう 知ってますか?あの
「え?
「それに こう言うお面もありましたよ〜」
「そ…それ…本当に私の顔?全然似てなく無い?……」
「ヴァル…それ全然似てないよ……」
長い髪で赤い着物を着た美少女ヴァルは、遊びに来た
「そうなんですか??」
「リョーブのお姫様はね、もっとこう…何と言うか美人なんだけど…ちょっとキツい感じの人かな?」
「え〜?でもこのお面 可愛いと思うけどな〜」
ヴァルは
「あの人は多分そんなふうに、テヘペロしながらウインクは絶対にしないと思う」
「良いな〜お姉ちゃんは お姫様に会った事あるんでしょう?」
「まあね 二回くらい会ったかな?」
「どんな人なの!?凄く美人で強いんでしょう!?」
「うん…美人だけど……」
一度目は
二度目は目の前で倒れそうになり、
(ん?倒れている所しか見ていない……もしかして弱いのかな?)
「ねえ?教えてよ〜」
(ヴァルが目を輝かせている…本当は弱いなんて言えない……)
「つ…強いよ 多分…たまに倒れるけど……」
数日後 サナーガの首都チョーセーでは陰湿で陰険な顔をした男が
「
「大王 今は戦にてリョーブを得るのは難しいかと…」
「今はだと?いつなら良いのだ?」
「時が来れば…その為には少々策を
「ふん!つまらぬ策なら首を
「ウヒヒヒヒ、どうかお任せを……」
陰湿で陰険な男の下品な笑いが チョーセーの政庁に響いていた……
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