逆転ハッピーエンド
華創使梨
プロローグ
自分と同じ顔がいるって言うのは相当気持ちが悪い。その割にはアイツと自分は正反対の性格で鏡は鏡でも逆さ鏡だ。アイツが上で俺が下。俺が上にあがることも同じ位置にたつことすら出来ない。産まれた頃からわかってる。
『一樹、またオファー来たわよ!凄いわ!お母さんの誇りよ』
『うん!ありがとう!』
いつも嫌がらせのように見せつけられる兄と母の会話。
『ママ〜見て見て!テストで100点取ったよ!』
『あら、晶。ふふ、小学校のテスト何で誰でも100点でしょ?』
悪気のない母の言葉。
『え…』
『あ、一樹送って行かなきゃ!!』
『...兄ちゃん、遊べないの?』
『当たり前でしょ!!晶は勉強してなさい!』
『うん...』
泣いたって心配に走るのは兄の方だ。
『ママ!五十メートル走でクラス一番だったよ!』
『そう、良かったわね』
『うん!凄いでしょ!』
『話終わり?なら早く宿題やりなさい。そこにいると邪魔なのよ』
『邪魔…』
『あと、お母さん一樹の仕事場に行かなくちゃいけないから。帰り、遅くなるわ』
『うん』
『冷蔵庫のチャーハンチンして食べて』
母は俺を見づに鍵を持って家を出ていく。
一樹がいい点を取れば、
『お母さん!見て見て!85点取ったよ!』
『まぁ凄いわ!一樹!また高得点じゃない!流石一樹よ!』
『えへへ』
俺はこの時、自分の部屋のゴミ箱に100点満点の解答用紙破り捨てた。
喋る事も笑うこと下手になって言った。
『双子なのに、どうしてこんなに違うのかしら?一樹は甘え上手で愛想も愛嬌もあっておまけにアイドルなのに、晶ったら、勉強も運動もできるのに愛想も無くて口が悪くて、お友達も全然作らないの。ほんと、将来心配だわ』
と、母がそう笑う。それを一樹は苦笑いで受けていた。
一樹と双子じゃ無かったらこんなこと言われなかったのか?そんな事を思ってしまう。
だから、俺は、一樹と同じ自分の顔が嫌いだ。
そう思いなが、十七年の月日がたった。
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