疫病神

連喜

第1話 生い立ち

 僕は子どもの頃から割と恵まれた環境で育ってきた。

 優しい両親とかわいい弟の4人家族。

 真面目に働く父は浮気もせず、飲む・打つ・買うの遊びもせず、一つの会社に長年勤めていた。両親は仲がよかったし、温かい家庭で育ったと自負している。

 それに、世間的に見ても割と裕福な方だった。


 学校や会社などでいじめに遭ったことはない。

 自分でも感心するほどの世渡り上手。

 特に人間関係で悩んでいることはない。

 苦手な人にも、表面上は合わせられるタイプだ。

 難関校から有名大学に合格、就職先も有名企業だ。

 その会社は、家柄のいい人しか入れないと言われていた。


 勉強はずっと得意だった。

 スポーツも特に苦手なものはなくて、ずっと水泳をやっていた。

 背は高いし、顔もそこそこイケメンと言われていた。

 中学の時は、水泳の推薦で高校に行けたけど、有名進学校を選んだ。そこでも、上位の成績だった。

 だけど、自分がすごいとは思っていないし、至って謙虚に振舞っている。


 ただ、ある人に会ってしまったことで、僕の人生の歯車は大きく狂って行くことになる。人生は人との出会いだというけど、いいことも悪いこともある。

 

 僕の場合は、悪い影響が大きすぎた。

 まるで、今までの反動が一気に来たかのようだった。

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