第1章 07 「みーちーるくん! あーそーぼ!」

「まーキルペース的におじさんかアイツさんのどっちかでキラーが1吊れてるってことで良いんじゃない?」

 暫く経ってacchangにより行われた緊急招集では、誰もやられてはいなかった。時速150kmがこのまま続行を提案する。

「となるとマネキン6のキラー1か。僕も白って言われてるし、いやー怖い怖い。ひょうごさんお土産キルされちゃうなー」

 ひょうごも何処か楽しそうに発言をする。

「そうですね。取り敢えず何か事件が起きるまで修繕を進行ってことで」

 蹴部ロスの後押しもあり、投票は全員がスキップに入れられてまたゲームは続行された。


 一方、破壊及び追放で魂となった霊界では。

「おーここでパン糠さん壊すかー」

「ん、何処で?」

 所内を彷徨う漬物石の魂が、ひょうごがパン糠を破壊する所を目撃する。その場所を尋ねたのはアイツだ。

「管理室。うーん、これもう通信障害起こせば――」

「いや、でも通信障害中に管理室で待機して、直った直後に所在確認する人もいるだろう。拙僧が思うに……」

 その瞬間サイレンが鳴り、等間隔で画面が赤く点滅する。檻に閉じ込められていた合成獣――キメラが解き放たれた。時間内にマネキン達が発見したら引き連れて檻に戻さないとマネキラーの勝利になってしまう、妨害の1つだ。

 三つ首のキメラにはそれぞれ首輪が着いており、最大3人まで引っ張ることが出来る。人数が多い程、引っ張る速度は速くなる。

「あ、イカン! ひょうごさん管理室前で張ってるし時速さんそのまま無線取ろうとするとやられるぞ」

 見えないアイツがひょうごの動きを監視し、やさしいおじさんと漬物石がキメラを引っ張る蹴部ロスとacchangとクロエに付き纏う。

「あ、やっぱり時速さんやられた。これでキメラの方向かったら……」

「てか料理長さん何してるんだ!?」

 漬物石が言う。魂となった3人の視界のそれぞれに、料理長の姿は無い。

 マネキラーの勝利条件は、生存するマネキラーとマネキンの頭数が同数になること。やがて檻に近付いた所で、向かいからひょうごがキメラを曳く3人と合流。


 そして、蹴部ロスがクロエを壊し、ひょうごと蹴部ロスのマネキラー陣営の勝利でゲームが終わった。


「有難うひょうごさん!」

「いやいやこっちこそ。愉悦極まりないねぇあっひゃっひゃっひゃっひゃ……」

「くっそーマジかー!」

 勝利を分かち合うひょうごと蹴部ロスと、悔しがる時速150km。他の面々も思い思いに言い、ガヤガヤとしだす。

「漬物石さんの初手キルの時、ちゃーんと十字路でアイツさんおじさんと擦れ違ってたんだけどね。まあ騙すよね」

「俺も所在確認で見た情報を正と置き過ぎちゃったし、俺も戦犯っちゃあ戦犯なんだよなあ」


 ――所謂感想戦が行われ、2分程経った後。


「それじゃ、僕はこれで勝ち逃げさせてもらうよん」

 ひょうごがこう言うと、他の人たちがバラバラに「お疲れ様です」等と挨拶をする。それを聞いた後、ひょうごこと志道しじ御影みかげは通話を切った。

「いやー満足満足! ……さてと」

 ヘッドセットを外し、軽く伸びをする。そして立ち上がり部屋から出ると、隣の部屋のドアをノックした。

「みーちーるくん! あーそーぼ!」

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