序・夢



 夢を見た。

 暗闇の中、銀色の枝葉を広げて輝く木があった。その木の麓に誰かが座っていた。その影は、動くことなくそこに佇み、こう言葉を放った。


「お前はまだ幼い。ちっぽけで何の影響力も持たず、自分では何一つできない、ままならない。半覚醒で自分の力も引き出せず、自分の身一つ守れない。他人に慕われもせず、慕いもせず、ただ毎日を淡々と過ごしている。全てが中途半端だ。そんなお前に私の願いを凌駕することはできない」


 その影は、そう言い残して、銀の木と共に消えていった。

 後には、暗闇が残された。

 どこかで、声が聞こえる。自分を呼ぶ声が。

 その声が大きくなるにつれて、意識がはっきりしてくる。自分を起こす声は、光を呼び込んで、彼の目を覚まさせた。

 朝の光に体をささげると、先ほどの夢が嘘であったかのような気がしてくる。一つ、あくびをして、神父メティスはカーテンを開けた。

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