第19話 帰還

ローニャ侯爵邸を後にして、王城に着くとグランが待っていた。


筋肉質な体で佇むグランを見て、ミラージュは何故か涙を流しそうになった。


「お帰り。ミラージュ。」


グランは、腕を広げ、ミラージュを迎え入れた。


ミラージュはゆっくりとグランに近づき寄り添う。


(私には、愛しい人がいる。グランがいる場所が私の帰る場所だわ。存在しないと思っていた父や曾祖父に出会う事が出来た。でも、彼らは私を選んだわけじゃない。仕方がなく私を探していたの。私が側にいたいのは)


グランに抱きしめながら、ミラージュはグランを仰ぎ見た。


(そう、今度は私が選ぶの。私の意思で)


「グラン。会いたかった。貴方と一緒にずっと生きていきたい。」


「ミラージュ?大変だったね。ずっと側にいるよ。愛している。」


グランの腕の中はとても暖かかった。


冷たい風が吹き、もうじき冬の到来を予感させる。


グランは、ミラージュを小さな風からも守る様に愛おしそうに抱きしめてきた。


ミラージュは、心地よさに包み込まれていた。










長い遠征から国王が帰還した。


ミラージュは、グランと共に国王に呼び出される事になった。


謁見室に行くと、そこには意外な人物が待っていた。

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